ボクの特等席(タッツミーのベッド。部屋が汚くてそこしか座れるスペースがないんだ)に先客がいた。図々しいよね。

にゃー

「かっわいーなおまえー。あ、ジーノ。ほらコイツジーノだよー?」

タッツミーはベッドに座る猫の腕を掴んでボクを指し示しながら猫にしゃべりかけている。
チラリとこちらに視線を投げた猫はすぐにボクから顔を背けた。なんとなく、その態度が気に食わない。


「ねぇ、なにそれ」
「それってなんだよ。猫だけど?」
「そんなの見てわかるよ!」
「怒んなよ、なにイラついてんの。コイツ敷地に迷い込んでてちょっと預かっててさ、今有里が役所に電話してる。後で取りに来るって」

何がイラつかせてるかって、タッツミーの瞳が猫ばかり映すこと。まるで猫と対話してるみたい。折角ボクがタッツミーの部屋にわざわざ足を運んだというのに。


「タッツミー」
「おわっ、…って…、なんだよっ!」


ガチャガチャとDVDのタワーが崩れる音がしたけれど気にしない。猫がキョトンとした目でベッドの上から床に転がるボクたちを見る。

「タッツミー、どこかぶつけたかい?」
「あ?別に、てかいきなり飛び付くな驚いただろ」
「ふふ、ゴメンね?」


腕の中に収まるタッツミーの顔中にキスを贈ると口を尖らせて眉間にシワが寄る。そんな表情も可愛くてぎゅっと抱き締めた。

「ちょ、まて、重い」
「そんなに体重かけてないよ?」
「退けってことだよっ!」


肩を押されるけれど、退いてあげる気はないよ。
タッツミーのYシャツのボタンを外し、露になった胸の突起に唇を寄せる。ビクンと体が跳ねて、感じてるんだと思うと自然と口元がほころぶ。甘噛みしたり、舌で弄んでみたり。少しだけ、意地悪く胸で遊んで、顔を上げると頬を蒸気させ、キツく瞼を閉じて我慢するタッツミーを見た途端一気に理性が崩壊していった。


「……や、…ぁ…じ、の…有里、来るか、らっ」
「いつもより感じてるようだけど、理由はそれかい?」


一瞬だけタッツミーと視線が絡む。ふいと横を向いたタッツミーの耳が真っ赤に染まっていて、可愛くて仕方がない。今度はその耳を弄りたいなぁ、なんて考えていたその時、

にゃー

猫が鳴く。その声に反応したようにタッツミーの体が震えた。隠れるようにボクの胸に顔を埋めてくる。


「貴方、猫に見られてて恥ずかしかったの?」
「…わる、いか、…なんか、ヤじゃん」


胸が熱くなった。顔も熱くなった。全力で抱き締めた。


「可愛いよタッツミー!ボクは猫なんかより貴方を飼いたい!」
「いや、それは、ダメだろ色々」
「どうして?絶対大切に育ててあげるよ?」
「………こえーよ」


タッツミーが睨んでくるけれど、そんな顔も全てが愛しくて堪らない。本当に飼うことが出来れば良いのに。
タッツミーはボクの腕の中でもごもごと身を捩って抜け出そうとしている。


「どうして逃げるのさ」
「もうすぐ有里来るし」
「うーん、それは困ったねぇ」
「全然困ってねーだろ、お前…。あーもーわかった。今日はお前ん家行ってやるから今はおとなしくしてろ。離れろ」


ボクは渋々タッツミーを解放した後、にゃーと鳴く猫に初めて触れた。

にゃん

一撫でしただけで猫はスルリとボクの脇を通り、タッツミーの傍で身体を丸めて眠りについた。




ボクは猫より犬が好き
でもタッツミーがもっと好き!




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