会話が途切れて暫くした後、信号に引っ掛かったタイミングでジーノは隣に座る達海を見やる。寝ちゃってる?。つまらないじゃないか。ジーノは穏やかに寝息を立てる彼に目を細めて、静かにアクセルを踏んだ。




「………ん……」
「おはよう。ほら、もう着いたよ」


車を停めると同時に目を覚ました達海に声をかける。達海はもぞもぞとシートベルトを外し、窓の外の景色に首を傾げた。

「あれ?お前ん家?」
「タッツミー疲れてるみたいだったから予定変更だよ」


予約をいれていたレストランに達海を招待して食事を楽しもうと計画を立てていたジーノであったが、気持ちよさそうに眠っていた達海の表情を見て、気分を変えた。こちらとしては愛するタッツミーに美味しいものを食べさせてあげたい。だが彼はどちらかと言えばジャンクフードなどを好む質なので無理に付き合わせる必要もない。一緒にいれる時間が出来ればそれでいい。
また次回にまわせばいいさ。
それより、疲れてるのに無理をさせたくないんだよ。
監督という役についている時は、隠している。
一体、何人の人が気がついているだろう。自分だけが、タッツミーのことを知っていればいい。気が付いてやればいい。無理はして欲しくないけれどそんなこと言ったところできっと無駄だろう。フットボールが大好きだから。








部屋に上がるなり、ソファーに身を投げた達海にジーノは顔をしかめる。

「そんなに眠いの?」
「…おー………寝てなくて…ちょっと、……」


フットボールに関して驚くほど熱心な監督のことだからまた昨夜も徹夜でチームの戦略を考えていたに違いない。髪をくしゃりと撫でる。まったく……。他人には一選手としてのコンディションなどに気を配るくせして、自分のことになると呆れるほど疎い。


「ほら、ベッド行こう?」

瞼がどうにも上がらない達海は、いいよ、ここで、とごねるような態度をみせたが風邪ひいてしまうよ、と声をかけてやれば、目を閉じたままふらりと立ち上がってベッドへと向かってくれる。
倒れ込むようにしてベッドへ沈んだ達海に布団をかけてやり、ジーノ自身も同じ布団に入りる。もちろん、達海を抱き込むようにして眠りにつく。実際眠る時間には些か早いのだが。タッツミーの寝顔を眺めるのもいいよね。考えてジーノはくすりと笑った。



「おやすみ。タッツミー」

頬に唇を落とすも夢の中へと旅立った彼から反応が返ってくることはなかった。




2人で過ごす朝(あした)まで
おやすみなさい








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