ああ、また


閉じた瞼の隙間から零れる涙に、気づかないふりをした。


どうしてかな

布団の中で体を丸くする。



試合のDVDを見続けてそのまま寝ると、時々、自分がピッチの上を駆けている夢をみる。特に興奮した試合のモノを観てしまった時には、夢の中で自分が同じようにシュートを決めているから困る。
ゴール直後に駆け寄ってくる選手はてんでばらばら。現役の時のチームメイトであったり、イングランドで率いてたアマチュアの奴らだったり、現に監督を担ってるETUの選手たちであったり、他チームの選手であったり。それはもう、ばらばら。この前なんて東京Vの王様と、現役時代の後藤がおんなじピッチでプレーしていた。俺がゴールを決めると後藤は嬉しそうに笑ってくれたし、持田は自分が決めたかったと顔をしかめた。それから俺は応援してくれたサポーターの元へと走り出す。そこで目が覚めた。今回は、我がチームの王子さまからパスを受けてシュートを狙おうとしたら、目の前にはゴールを守るドリがいた。一対一の真剣勝負に心が踊った。なのに、そんな愉しい時間は一瞬にして消えていった。不意に現実に引き戻された。夢って、いい加減。ほんと、イイカゲン。
未だ夢で起こっていたことを思い出していたら勢いよく自室の扉が開いた。


「達海さん!起きてっ!」
「……ん……ユリ……」

朝からなんでそんなに元気なの、と心の中で思いつつ、体を起こす。眠気眼を擦っていると、有里がジャージを投げつけてくる。

「ほらっ、もう練習始まるよ!」
「…うーん……」
「シャキッとしてよ、もー」
「…うん……」
「まだぼーっとしてるの?」
「…うん……」


有里が急に顔を覗き込んでくる。一応、お前は女で俺は男なんですけどね。近くなった距離に今さら緊張なんてしないけれど。


「夢でもみたの?」
「みた」
「ふーん…、誰か出てきた?」
「うーん、まぁ、ETUの奴らが」
「ねぇ、達海さん、知ってる?」


夢に出てきた人に想われてるんだってさ





にやりと不敵に笑う顔はどこで習ってきたのだろうね。



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