自宅の玄関ドアの前に何か丸まってる。丸まって座り込んでいる。それは見慣れた緑。ゆっくりと上がった顔は、当然不機嫌だった。

「お そ い」

尖らせた唇から漏れた言葉に苦笑しなが近づくと寒さで冷えきった指が僕の頬に触れた。

「冷たいだろー」

悪戯っ子な笑みを浮かべた彼の手を握る。


「来るなら連絡してくれれば良かったのに」
「携帯持ってねーもん。それに、いると思ったし」


勝手に来て待ったことに文句を言われても、そんなの僕のせいじゃないし。なんて言い返したかったけれど、折角彼が来てくれたから、そんな台詞は飲み込んで。代わりに、やはり冷たいカサカサな唇に己の唇を重ねる。


「……こら、外はダメだ……部屋入ろ?寒い」








室内に入るなり、玄関扉を背にしたタッツミーに深く口づけた。ときどき出来るキスとキスとの合間からは電気つけろ、と不平が漏れる。お構いなしに暗やみの中でタッツミーの体を触ると、不意にごんっと頭を叩かれた。

「………ひどい…」
「頭を殴るつもりはなかった。見えないから仕方ねーだろ」


靴を脱ぎ、他人の家の電気を勝手に点けながら部屋の奥へと進むタッツミーを後ろから抱き締める。

「余裕ないなー」
「だって、来てくれるなんて思ってなかったし。嬉しいんだよ」


タッツミーは笑う。お前って時々すげー可愛いよな、なんて。可愛いは君だけで充分だよ。


「さむかった」
「うん。ごめんね」
「あっためろっていう意味」

タッツミーの顔を窺う僕にニヒヒッと笑ってみせて。それから僕を正面から抱き締めた。


「暇になったから来てみた。朝までよろしく頼むぜ王子さま」
「ふふ、大胆なお姫さまだ」



熱烈なお誘い



0122

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -