またか。
情事の最中には相応しくないため息を吐いたところで達海は気にも留めずに俺の性器を口に含んで弄んでいた。次第に込み上げる射精感。頭をそっと押し退けても言うことを聞いてくれるはずはなく。結局は達海の口内で果ててしまう。


「まず…」

文句を言うなら飲み込むな。
だから止めろと言ったのに。

口元を拭う仕草が猫みたいだった。


「達海」

床に膝をつく達海をベッドの上へ誘う。二人分の体重によってギシリ、と軋むベッド。この感覚好きなんだよね。何時だったか達海が漏らした言葉を不意に思い出していた。達海についてだったら1つ1つ鮮明に記憶している自分自身に可笑しくなる。目の前の彼が愛しい。なのに、

「昨日は誰と遊んだんだ?」

「教えない」


どろどろと汚い感情が渦巻く。いつまで経っても達海を追いかけてばかりである。縮まらない距離に苛立つ。
他の誰かから点けられた痕の上に歯を立ててやる。


「後藤、はやく、」
「俺だって少しくらい良いだろ?」
「あんまり痕点けられると困るんだけど」


ふらふら、と。
次はどこへ行こうとしているのか。

「俺だけが見るなら困らないだろう」

達海はただ、曖昧に笑っただけだった。


一緒に溺れてみたかった




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