「好きだよ」
「……え…なんスか、急に」


突然そんな甘い言葉をかけられても、応じることなんてできやしなかった。今そんな雰囲気でした?相手の表情を窺う。相変わらず何を考えてるのかさっぱりであるが、見つめてくる瞳に鼓動が高鳴る。好きだよ。相手の言葉をもう一度頭の中で繰り返した。徐々に熱くなる顔。

「お前の、フットボールに対する熱意っていうの?嫌いじゃないね」
「………ああ、そすか」


なんだかなー、
一瞬浮かれてしまった俺は馬鹿か。靴紐を結び終えて、これから戦場へ向かわなければならないって時に。こんな馬鹿らしいことを考えてる暇はない。集中しろ、集中。後半、そうしなきゃ、やられる。


「赤崎ー」
「だから、なんなんスかっ!止めてください、俺たち負けてんスよっ!集中切らさないでくださいよ」

振り返った俺に、キョトンと間抜け面を見せてから、次には嫌らしい笑みを張り付けて監督は近づいてくる。自分の肩に監督の腕の重さがかかる。あのさー、と耳元で話す監督の声に、再び高鳴る鼓動は相手に聞こえちまうんじゃないかってくらい。こんなとこで、なんて。今は試合中なんだ。集中しろ。


「この試合、勝てるか負けるかはお前にかかってんのね」


達海監督はそれから、ニヒと笑って、俺の髪をくしゃりと撫でた。ぐしゃぐしゃ乱れた髪に、ちょっと、アンタっ!と怒ったところで、監督は悪びれる様子もなく楽しそうにしている。なんだよ、コイツ……。


「勝ったらご褒美やっちゃうかもよ?赤崎くん?」


この人の挑発的な眼は嫌いじゃない。馬鹿にされている感じは腹立たしいが。俺は、監督の胸ぐらを掴む。こんな状況を松さんにでも見られたら、怒鳴られるに違いない。でも、煽ったのはコイツだ。


「俺が決めてきてやりますよ、ゴール」
「うん。期待してる」
「そしたら、アンタを今夜思い通りに犯していいスか?」
「えー、うーん、働き次第かな?」
「覚悟しててくださいね」


お前乱暴だから嫌なんだよなー、なんて文句を言う口を唇で塞いでやった。


「ちゃんと試合に集中しろよ?」
「アンタが悪いんスよ」
「選手のやる気出させるのも監督の役目だかんね」


ニヒ、と笑って監督は俺の背中を叩いた。




ここまで言われたら
結果出さないわけねぇじゃん




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