タッツミーの部屋のドアノブに手をかけようとしたちょうどその時。内側からカチャリと扉が開いた。

「王子?達海に用事か?」

珍しい、とは口には出さなかったけれど、GMさんの顔にはそう描かれていた。予想していなかったのはお互い様で、どちらも一瞬だけ驚いた表情を作ってしまう。ボクは直ぐ様笑顔を貼り付けて、こんばんは、と挨拶をした。


「じゃ、達海、また」
「ん。またね」


振り向いたGMさんはタッツミーにそれだけ声をかけると離れて行った。
入れ違いに入ってきたボクに視線を寄越すとタッツミーはこっち、と手招きをして横に誘ってくれる。


「タイミング良いね。ちょうど後藤帰ったとこだし」

タイミング良い?ボクとGMさんは顔を合わせたんだよ?2人で会うなら、ボクにバレちゃいけないんじゃないの?………知らない間に2人で会ってるのも嫌だけど。もの凄く嫌だけど。

タッツミーの頭を支えて、腰に腕をまわしてから、深く口付けてみた。安っぽい缶ビールの味が口に広がって、気持ちが悪い。こんな味じゃなくて、もっと、タッツミーを味わいたいのに。

「ん、……な、に…?」
「GMさんと飲んでたの?一緒に?」
「うん」


なにもされなかった?と訊いたところで、お前みたいな物好きいないよ、なんて言って笑われるだけだった。


「嫉妬深い男は嫌われるぜ?」

ニヒ、と笑う彼にため息が出てしまう。
もっと、恋愛は楽しいものだと思ってたのに。つらいよ。ボクばっかりこんな思いなの?


「なー、ジーノ、機嫌直せよ」

自分で自分が嫌になる。嫉妬心なんて、醜いのに。

「ついさっきまで松ちゃんもいたし。そんなお前が考えてるようなやましいことはしてねーって」
「うん、ごめん。わかってるんだけど」
「うーん、まぁ、嫉妬されるのも悪くはねぇよな」


愛されてる、って感じすげぇするし。


タッツミーの言葉ってどうしてこうも気持ちが浮上して、幸せにさせてくれるんだろう。




好き。どうしようもなく好き。
どうすれば良いの?





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