王子というのはさ、時として王様をも殺して権力を奪うことがあるよね。



なんだよ。物騒だな。なに、俺を殺したいの?達海はジーノを見た。

「わかってんじゃん。俺は王様だかんね。だからお前は俺に従うよーに」


ニヒ、と達海はジーノに対して口元を綻ばせてみせる。
微かに笑みを浮かべたジーノは達海の手を取り、唇を落とした。
それはまるでお伽噺の王子さまのように。優美に。


「タッツミー、君はボクのプリンセスだから問題はないよ」


さむいよ。やめてくれ。達海はジーノの言葉を嘲笑った。
むすっとした表情を作ったジーノは、達海の身体をベッドに押し倒した。そのまま口付けを交わす。

「……ン、」
「愛してる。ボクの、タッツミー」


少し唇を離した際にジーノが囁く。


「タッツミー?」


ジーノは首を傾げた。
あれ、顔、赤い?


「照れたの?」
「うるせー」

もう吉田って呼んでやるからな。
ふい、と横を向く達海の耳まで真っ赤でジーノは笑ってしまった。



王子さまが一番欲するものは権力や地位なんかじゃなくて


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