太く逞しい首に腕を回し顔を近付ける。
腰と首の後ろに添えられた革の手袋を嵌めた手が大袈裟な位に優しく触れるのでつい笑ってしまった。
だけど自分を見詰める赤い瞳はその色通りに熱を持っている。
そのギャップに下腹部が疼く。

「なんじゃぁ、何を笑っておる」
「だって、サカズキてば触るのは優しいのに目はギラギラしてるんだもん」
「………男が「もん」なんて言うな」
「ふふ。すいませーん」

ふん、と鼻で息を吐いたサカズキは顔を横に向ける。
そうすると赤く染まった耳がこんにちはをして吹き出してしまった。

「何が可笑しい…」
「だ、だって、サカズキ…っ耳…ぶはっ、っははは!」
「っ喧しい!笑っ…笑い過ぎじゃぞおどれぇ!!」
「ひーっひぃ…可愛い、可愛いよサカズキィ…!」

引き攣りながら笑えば優しく添えられていた両手が顔を挟みブサイクな顔にされる。
唇を突き出す形になった俺の顔を見てお返しと言わんばかりにサカズキに鼻で笑われた。
さっきまでの甘い雰囲気は何処に行ったのだと思う程空気が変わったが俺とサカズキは大人しく甘えるよりかははしゃいで甘えあう方が合っている。

「サカズキー」
「あ?」
「だいすきー」
「……そうか」

そう言ってどちらともなく顔を近付ければ生暖かい唇同士が合わさった。
さて。スイッチが入ったサカズキをどう鎮めようかとシャツの中に入れられた手を感じながら考え瞳を閉じた。