このネタ設定なんだけどあまり関係無い。



「寒い寒い寒い寒い……っ!」
「言うな!もっと寒くなるだろ…!」

学校までの道のりで偶然一緒になった相田と日向は共に並んで登校していると肌を指す様な冷たい風が二人を刺激した。
それに短い悲鳴を上げながら二の腕を擦る相田に日向は溜め息を吐いた。

そのまま歩いていくと校門と自分達と同じ様に寒さに身を縮める生徒達が校舎へと入っていくのが見えた。
その中で黒いロングコートに身を包んだ見知った長身を見付けた相田は目を光らせスカートの中が見えようがお構いなしにその人物目掛けて走り出した。

「名前ーーーっ!!」
「へ―――、ぅぐっ!?」
「おはよう会いたかったわーっ!さぁ私をその身体で温めてちょうだいーー!!」

校門で大胆発言をする相田に周囲の生徒は寒さとは違う意味で頬を赤く染めながら横を過ぎていく。
勢いのまま抱き着いた相田の強烈なタックルに苗字は倒れはしなかったが身体の中身が出そうになったと思いながら張り付く間をそっと離した。
その間も相田は「早く早くっ」とキラキラとした瞳で苗字を見上げた。

「焦らないで…―――はい。どうぞ」
「っ! はぁ、ん…」

苗字はコートのボタンを全て外し両手で広げると微笑み相田の華奢な身体を包み込んだ。
すっぽりと苗字の腕の中に納まった相田は満足そうな顔をして冷たさで殆ど感覚が無くなった手を背中に回し暖を取り始めた。
じんわりと広がる暖かさに恍惚とした表情を浮かべる相田と「リコちゃん、気持ち良い…?」と某モデル顔負けの微笑を浮かべながら耳元でささやく苗字のやり取りを日向は死んだ目で見送りながら早歩きで横を通り過ぎて行った。

その後。苗字は相田を抱き締めたまま教室へと入り苗字は自分の席に着いた――と思ったら相田が膝の上に横に座り始業開始のベルが鳴るまでその大勢で居たという。



「女同士だと分かっているけど…けど……っ!」
「分かる。分かるぞ日向!俺も同じ事を思っているから!」
「しかも「私も暖めてー!」なんて言いながら女子がわんさか集まって…目の前でハーレムが出来上がっていくのを見せられる俺の気持ち!」
「お、落ち着け日向!目が血走って怖いぃ…!」
「ははは!相変わらず苗字は人気だなー」
「女子限定でかつ下心ありでな…」