ぐわし。そんな効果音が聞こえそうな勢いで俺の髪を鷲掴んだ我が息子は本当に天使だ。

「きゃっきゃ、ぷぁ、あーうっ」

俺の腕に抱かれ機嫌良く笑顔を咲かせる息子の苗字に俺も仲間達もメロメロである。
常人では其処まで伸ばせない程頬を伸ばし変な顔をするルフィに苗字は凄く嬉しそうに両手を叩き。
ウソップは自慢の工作で作ったおもちゃを苗字に渡し楽しませる。

「べろばろばーっ!」
「よーし!このウソップ様お手製のでんでん太鼓をとくと楽しめよー!」
「きゃーっ、あぅっうっぱー!」

子供の健康を考え野菜中心だがしっかりとうま味を出した食事を運ぶサンジの料理に苗字は嬉しく齧り付く。
大好きな人から受け継いだ大好きなミカンを綺麗に剥いたナミは一つ一つ丁寧に苗字の口へと運ぶ。
見た目はアレだが男心を擽るロボットを作ったフランキーはちょっとした劇を見せ苗字の良い遊び相手だ。

「くぅ…!あのマリモの子で男だと分かってるが…可愛いなぁチキショー!!」
「はい苗字。美味しいでしょ?私の自慢のミカン!」
「アォ!スーパーなオレ様が造ったスーパーなロボット劇を見てくれ!」
「ぷぁ、あー、うきゅぅ!」

色んな所から出て来た腕や足を使い疑似ジャングルジムの中で遊ばせれば物凄い速さで遊びまくる苗字。
お得意の唄を歌いそれに合わせて身体を揺らす苗字にブルックはお馴染みの笑い声を響かせる。

「ふふ。木や金具を使ってないから安心ね」
「ヨホッ!ヨホホ!リズムに合わせて動く苗字さんも可愛らしいですねーっ!」
「うっ。うっ。あーっふぉー!」

こんな感じで今日もサニー号はわいわいがやがやと海を旅する。
しかし皆があれこれやって嬉しがったり楽しんだりしてくれるが苗字の一番はやっぱりアイツだ。

「苗字。メシの時間だ」
「あー!まぁ、まーっ」

雑な話し方だが苗字に対する瞳はとても優しく暖かい。
無骨な手が、太い腕が苗字をゆっくりと抱き上げれば逞しい胸板に顔を埋め甘える息子。
遺伝した髪色が二つ並び俺を見下ろす。

「名前。お前も行くか?」
「当たり前だ。俺も腹減ったからなゾロ」
「うー。ぷぁっあー!」
「苗字も腹減りか。んじゃ、サンジの美味い料理食いに行くか!」
「ああ」
「うきゃ、きゃーっ!」

頭一つ分下のゾロの額にキスを落とし食堂へと三人で向かった。
明日も今日以上に楽しい事が起きてくれと楽しむ様に苗字は高い声で笑った。