山の様に積んであったチーズバーガーが目の前に座る大型肉食リス「かがみん」によってどんどん減っていく。
口元を引き攣らせる俺に隣に座る黒子が「何時もこの量ですよ」とバニラシェイクを飲みながら教えてくれた。
何その情報別に要らない。

「? 食べないのか?」
「火神の食べっぷりを見て満足っすわ」

頼んだテリヤキバーガーセットに手を付けない俺に火神が聞いてきたので素直に思った事を返した。
いやマジで圧巻だよ火神の食べっぷり。
普段からよく食べるヤツだとは思ってたけど…しかもこれを食べた後に夕飯も食うとかどうなってんだよお前の胃袋は。

「食べねーんなら貰うぞ」
「ああ、うんどうぞ…っていう前に食べてるし」
「火神君はそういう人ですから」
「ポテトも食われた…」
「さっさと食べないからです」

そう言いながら火神と一緒に俺のポテトを食う黒子のちゃっかり具合。
セット頼んだのにジュースしか手元にないとか頼んだ意味。
まぁ、そのジュースもさっき火神によって半分以上飲まれたがな。
そんな傍若無人な二人に対し一回も怒った事の無い俺の器のデカさと心の広さは海より広く穏やかだと思う。

「あーあー。火神、口の周りソースだらけだぞ」
「んぁ?」
「ったく、ほら。ナプキンやっから拭けよ」
「いらねー」
「舐め取るなよ。ギョーギ悪いなぁ…」

べろり、と舌で口の端やらに付いたソースを舐め取る火神に溜め息を吐きながら身を乗り出して代わりに拭いた。
その時。「ピロリン」という音と共に黒子がテーブルへと突っ伏した。
ガツン!だかゴツン!だかどっちでも良いが物凄い痛そうな音が聞こえたので相当強く打ったと思われる。

「黒子!?」
「だ、大丈夫か黒子!?」
「っ大丈夫です。ただ目の前で繰り広げられた天使達の戯れに興奮した脳を沈めただけですから」
「? 良く分かんねーが額スゲー赤いからちゃんと冷やせよ」

そう言ってまたチーズバーガーに齧り付いた火神に黒子が「僕の光と心友(しんゆう)マジ天使…」と小さく呟くのが聞こえたが聞かなかった事にした。