※夢主が福井先輩に対して辛辣ですが愛はあります。




岡村×夢主前提

俺の彼氏マジイケメン過ぎて男なのに孕む。いや孕んだ。

「何言ってんだお前」

人の心の声が聞こえるなんて福井は凄いなと言えば物凄く変な顔をされた。
変な顔と言っても所詮モブ顔の福井だからそんなに変わらないんだけどねと心の声で呟いたがまた聞こえた様で泣きながら教室から出て行ってしまった。
次の数学の宿題をまだ写し終えてないのに大丈夫なのだろうか。
まぁ福井がそれで良いなら良いかと数学のノートを閉じてスマホを取り出しロックを解除して待ち受け画面を開く。
現れた待ち受け画像は俺を抱き締めて顔を真っ赤にするマイダーリン岡村とのツーショット写メである。
イケメンなのに天使だなんて流石俺の岡村である。

「そう思うだろう氷室君」
「え? あ、はい。そうですね…」

あはは…とやけに乾いた声で笑う氷室君の声が寒空の下に響いた。
体育館の調整にて部活が急遽休みになって暇を持て余していたバスケ部のレギュラー(ダーリン岡村とモブ福井抜き)と遭遇したので「焼き芋やるけど食べる?」と誘ったらホイホイとついてきた。(そんなに焼き芋が好きか。そうかそうか、屁だけはこくなよ臭そうだから特に紫原。)

「苗字ちんゴリラの布教活動はダメだよー」
「岡村の良さが分からない奴は今すぐにこの業火の炎に焼かれるがいい」

「怖いよ苗字ちんー」と紫原の気の抜けた声を聞き流しながら目の前でごうごうと燃え盛る焚き火の中に木の棒を突っ込み中に入っているアルミホイルで包まれた我が家産のさつま芋を突っついた。(我が家のおばあ様が育てたものでご近所さんや身内に大好評である。)

「その前に一つ聞きたいアル」
「ん?何だい劉?」

ここまでダンマリだった劉が(緑とオレンジのチェック柄マフラーをお洒落に巻いている)挙手し俺に質問してきた。

「校内で焚き火をやっていいアルか?」
「ここでは俺が法律だから何したって良いんだ。はいどうぞ」
「なるホド。これが独裁政権ネ…」

「そのまま渡さないで欲しいアル…」と劉は木の棒に刺された熱々の焼き芋を見て呟いた。
だから軍手を持って来いと言っただろうが。(仕方が無いので俺が持って来ておいたのを渡してやった。)
紫原が「俺が最初に食べたかったー!」と騒ぐので「第二弾だよ」と言いながら放り投げたら泣かれた。(まったく。投げ付けないだけマシだろうが。)
軍手を嵌めて受け取り準備万端の氷室にもそっと渡せば綺麗な顔で可愛くはにかみ「Thank you」とお礼を言って不器用ながらアルミホイルを剥き始めた。
綺麗で可愛いなんて氷室は何てお得な顔なんだろう福井にも分けられたら良いのに。

「お前は俺の顔になんか恨みがあんのかよ」
「別になんもない。芋くう?」
「くう」

福井の顔への自意識過剰は困ったものだなと溜め息を吐きながら福井用に取っておいた焼き芋を棒で刺して渡す。
一年の頃から毎年やっている「俺主催の焼き芋パーティー」の皆勤賞受理者である福井は手慣れた手付きでパパパッとアルミホイルを剥がし白い湯気がもうもうと立つ黄色に齧り付いた。
ほふほふと焼き芋を頬張る福井の姿が近所のお姉さんが昔買っていたジャンガリアンハムスターが一心不乱にエサを口に詰め込むのに似ていると思うのは俺だけだろう。
ようやく食べれる段階までこれた他三名も福井と同じく頬一杯に頬張る姿はいささかシュールである。



「そういえば福井。岡村はどうしたんだ?」
「ああ。置いてき――っぶね!?おま、火を突っついた棒は止めろ!!」
「主将をエスコートするのが副主将(下僕)の役目だろ!?」
「副音声いいいいいいっ!!!」