「おい。吸い過ぎだぞ」
「へ?」

昼休憩を頂き何時もの様に喫煙所にて愛用の煙草を味わっていればひょっこり現れたニヴァンスさんに注意されてしまった。
まぁ自分でも一日に一箱以上吸うのは吸い過ぎだと分かっているがそれが普通になってしまったので今更減らすのも抵抗がある。

「もう減らそうとは思えないんですよねー」
「今お前の身体を裂いて肺を取り出し確認したら絶対に真っ黒だろうな」
「そうであろうけど確認の仕方の言い方が怖い!!」

真顔で言うものだから本気で確認されると感じ身震いすると隣にニヴァンスさんが座った。
と思ったらニヴァンスさんは流れる様に煙草を取ると口に咥え息を吸った。
たしかニヴァンスさんって煙草一度も吸った事が無かった気が…。

「っぅ、ごほごほっはぁ、うえええっ…」
「だ、大丈夫ですか!?」

案の定噎せてしまったニヴァンスさんは前屈みになり口元を抑え悶絶する。
私はニヴァンスさんの背中を擦り呼吸を整える様に声掛けをしながら煙草を回収し灰皿に捨てる。

「何で吸ったんですか!?吸えないですよね!?」
「、うるせっ耳元、でっ叫ぶな…っ」

涙目で睨まれても怖くありません寧ろ可哀想に見えますよニヴァンスさん、と心の中で思い一応謝りながら背中を擦るのを継続する。
少しずつ落ち着いて来たニヴァンスさんは咳払いをして姿勢を戻す。

「あー…お前よくこんなの吸えるな」
「もう何年も吸ってますから。身体が慣れちゃったんです」

苦笑いを浮かべながら落ちた煙草を拾い上げ吸い殻入れへと捨てる。
それをジッと見詰めるニヴァンスさんは口をモゴモゴ動かし何か言いたそうな顔をしている。
どうしたのかとずっと待っているとニヴァンスさんの右手がゆっくりと上がりそして―――。

「? ――!?ぃだ!?え、ちょっ、なんですか!?」
「っんでもねーよ!馬鹿first!!」
「ええええっ」

行き成りキレられ怒られたニヴァンスさんまじ理不尽!!



「「口が寂しいから吸うんだ」…なんて何を考えてんだ俺は…!!」

一人喫煙所に残ったニヴァンスさんがそんな事を叫んでいたなんて気付かずに叩かれた頭を冷やすのに私は気を取られていた。