ピアーズは困惑した。

「うっわ。本物かよこれ」
「動いてるから本物だろ」
「凄いですfirstさん!」
「え、そうかな?」

firstを取り囲む様にBSAAのメンバーが集まっていた。
何時もの光景なのだが今日は違っていた。
それはfirstにあった。

「first…何だその耳と尻尾は」
「ニヴァンスさん!」

ピアーズが声を掛ければ臀部より少し上にある尻尾が千切れんばかりに振られる。
頭部に生えた茶色の三角耳はピクピクと動きこれが偽物ではないというのを知らされた。
犬“みたい”なのが“本物”の犬になっちまったのか…とピアーズは頭を抱えた。
そんなピアーズの苦悩も気にせずfirstはピアーズに駆け寄ると首を傾げる。

「どうしたんですか?」
「…もう何なんだよお前。何でそうなってんだよっ…!」
「えと、自分でも良く分かんないんです」

何ででしょうかね?と苦笑いを浮かべるfirstにピアーズは考えるのを放棄したくなった。
それを見ていたマルコがこっそりピアーズに近付き耳打ちし経緯を話し始めた。
マルコも聞いた話で確かではないが…どうやらジルが怪しげな商人から怪しげな飲み物を受け取りあまりにも怪しい匂いと色をしてたので怪しく思ったからfirstに飲ませたらしい。

「怪しいって分かってるなら受け取るなし飲ませるなよ!?」
「いやほら、ジルさんだし?な?」
「納得せざる得ない言葉!!」

あああ…と頭を抱えるピアーズにマルコは良い笑顔で「ドンマイっ」と言うと次の瞬間には宙を舞っていた。


「で。どうするんだ?」
「どうしましょう。別段、困る事もないですし」
「はわ〜。尻尾ふわふわですね!」
「あはは。くすぐったいよマコーレー君」

firstの言う通りただ耳と尻尾が生えただけなので生活に支障は無さそうだがさっきからチラチラと女性隊員が見に来てるのだ。
見られるだけなら良いのだがシャッター音やら録音する機材等を持ち込んでいる者もいる始末である。
色んな意味で危険を察したBSAAのメンバーは一致団結しここに「firstをお姉様方から守ろうの会」が結成された。