微睡む意識の中に聞こえる波の音と感じる温かい日差し。
ゆっくりと瞼を開けば目に映るは俺の心とは裏腹に眩しい位に輝く太陽。
ああ、ここが天国と言う所だろうか。

「………いや。違うな。どこだ此処は」

現実逃避などしている暇などなく俺は身体を起こし周りを見渡した。
まず目に入ったのは広すぎる海と生い茂る木々達であり何処かの無人島であろうか。
だが俺はマカロフに空港で殺された筈でアイツが俺をこんな所まで連れて来る訳が無い。
色々と考えるが起きたばかりの為思考が働かなく結果は出て来ない。
とりあえず島を探索しようと腰を上げた。

さくさくと海沿いに進んで行くと遠くに小さな家を発見した。
こんな所に家?とは思ったがもし人が居ればここが何処だか聞いて今後を考えようとし俺は真っ直ぐに目指した。

「……コンクリート」

ざっと見たがこの島にコンクリートになる素材は無い気がするのだが…と思ったがそれは後回しにして木で出来た玄関を軽くノックした。
コンコン、と乾いた音を立てるが中から返事はない。
もしや留守か…それか無人なのか。
もう一度ノックするが反応は同じであり仕方無いと溜息を付き今度は森の中を探索しようと後ろを振り向いた――ら音も無く開いたドアから伸びた腕に引っ張られ尻餅を付くように中へと入れられた。

「っぅ、」
「どうして、居るんだ――first」
「…ユー、リ……?」

痛みに悶絶してると掛けられた声は懐かしい男の声だった。
顔を上げると怒ってるような泣きそうな顔をしたユーリはしゃがむと勢い良く俺を抱き締めた。
久しぶりのユーリの体温と匂いに泣きそうになる。

「お前、マカロフに殺されたんじゃ…」
「ああ」
「何で生きてるんだ?いや、生きてるのは良い事なんだが、その、お前はもう…」
「あの世にはもう居ない。だがこの世には存在している。仮定だがここは「死後の世界」だ」
「死後の、世界…」

訳の分からない事を話すユーリに頭が追い付かなく困っていると小さく笑われた。
密着していた身体をお互いの顔がよく見える距離まで離すとユーリの顔が近付いて来た。

「(あ、キスされる)」

思ったのと同時に唇に熱いものが重なった。



「死後の世界…か。何とも不思議な所だな」
「そうだな。実はマカロフも居るんだぞ」
「え。……そう、か」
「明日にでも会いに行こう。話したい事もあるだろうし」
「明日?今からじゃダメなのか?」
「駄目だ。今から会えなかった分を埋めるんだからな」
「え……――ぁっ、」