昔から女性が好む様な可愛らしい物と綺麗な物が好きだった。(両親はそんな私を変な者を見る目で見ていたけど今となっては懐かしい記憶だ。)
何時しか自分を“女”だと思い込み十二歳の時に親に黙って女の子向けの洋服店で一番安くて可愛らしい黄色のドレスをお小遣いで貯めたお金で買った。
ドレスを着た瞬間、私の中で何かが弾けたのを感じた。
それからは母に「どうしてなの!?貴方は男なのよ…!」と泣きながら言われようが父に「私の息子は何処に行ってしまったんだ…!」と嘆かれ様が可愛らしいドレスや美しい宝石を身に纏い続けた。
十五歳になった日。父は私の頬を強く叩くと泣きながら出て行けと言われた。
黙って従い必要な物だけを纏めた荷物を持って出て行く私の後ろで父と母は悲しみと怒りの籠った瞳で見詰めていた。
月日は経ち二十二歳――私は小さな酒場で住み込みで生計を立てている。
店主は私を一発で気に入ってくれ今まで着た事無い高価で美しいドレスを下さったり埃塗れだった小さな舞台を掃除しそこで歌を披露させてくれたりと私の好きにさせてくれた。
ある日、何時もの様に歌っていると脇の方で一人浮いている男を見付けた。
それがコナーとの出会いだった。




「―――first」
「ん、コナー…」

コナーに小さく私の名前を呼ばれ目が覚める。
後ろからコナーに抱き締められる様に二人でベッドで寝るが幾ら自分が細くても体格の良いコナーと寝るにはこの粗末なベッドは狭すぎた。
奮発して大きいのを買おうかしら…と考えているとコナーの太い腕が腹に回され隙間無く身体が密着される。
顔を後ろへ振り向かせれば薄く口を開けて幼い顔で眠るコナーが映った。
普段は気を引き締めている所為か仏頂面な彼だがこの時ばかりは緩むのを知ってるのは私だけかもしれない。
優越感に浸り腹に回された大きな手に自分の手を重ね瞼を閉じた。