「ぐぅっ…!」
「first!?」

唸る声が聞こえ振り向くとfirstがジュアヴォに押し倒されていた。
涎をダラダラ垂らすジュアヴォに噛み付かれないよう両腕で押さえ付けるfirstの姿に胸が熱くなった。

「っく…!レオン助けてくれぇ!」
「グァアっ、ゴガッガァ!!」
「っレオーン!!」

firstは激しく抵抗するがジュアヴォも目の前の馳走に喰い気味になり両者一歩も引かない状態だ。
ジュアヴォがfirstの足の間に身体を割り込ませ身動きを取れなくさせる。
その恰好が如何わしく見えてしまった。

「っレオン、助けてくれ――ひぃ!」

涙目(に俺は見える)で俺に助けを乞うfirstが短い悲鳴を上げた。
なんとジュアヴォが服を脱がし始めてるではないか。
ジュアヴォ本人は邪魔な物を取り除こうとしてやってると思うが俺とfirstからすれば死の危険では無く操の危険を感じる。
流石にもう助けないとと思い駆け付けようとするが通信機からハニガンが静止を掛かけた。

「待ってレオン!」
「ハニガン!?駄目だ!これ以上はfirstの貞操が…っ」
「彼の今の姿が私達に必要なのよ!」
「何?」

「私達」という単語が気になったがハニガンが通信機のカメラ画面をfirstに向けろと言う(命令する)ので従うと「技術部!カメラの用意!」と叫んだ。
命令の所為で俺は動く事が出来ずカメラを向けてるだけでその間にもfirstはジュアヴォに服を脱がされ上着を半分程捲られると鍛えた腹筋が露わになり持っている通信機を落としそうになった。
通信機からハニガン以外の黄色い声が聞こえたが目の前の光景に釘付けとなり気にならなかった。

「や、やめっひぃ…!?」
「うああ、ぐぁっがぁぁあ!!」
「や、やだっ…たすけ、ジルっジルぅ…!!」

尚も脱がそうとするジュアヴォにとうとうfirstは泣き出してしまいジルの名前を叫んだ。
もう我慢の限界になり銃を構え撃った―――となるのだがいきなり現れた黒い影に先を越された。

「ウチの子に手出してるんじゃないわよ!!」
「ぐがっ……!!」
「っジルううう!」

かの有名なバトルスーツ(しかも赤い奴まで付いてる!)を着て現れたジルはfirstを襲っていたジュアヴォを「サッカーしようぜ!」な勢いで蹴り上げた。
綺麗に弧を描いて飛んだジュアヴォは脳天から落ちると辺りに真っ赤な花が咲いた。
ジル(救世主)の登場にfirstは乱れた服を片手で押さえながらうっとりとした目で名前を叫んだ。

「first…ああ、なんて美味しそうな――じゃない。酷い姿に…!」
「ジルうううっ!」
「first!!」

若干ジルの発言が危ない気がするがひしっとお互いを強く抱き締めあう二人の美しい愛の姿に思わず拍手した。
通信機から「レオン…最高の映像ね」と心底嬉しそうにハニガンが話すその奥でカリカリと何かを書いている音が聞こえたがそっとシャットダウンさせる。


後日。ハニガン(と他数名の女性隊員)が「ジュアヴォ☆パニック〜堕ちる肉欲〜」というタイトルの薄い本を売店で売っていた。