仕事が長引いてしまい時計を見れば夜中の一時を回っていた。
疲れがどっと押し寄せ長い溜め息が出た。
荷物をさっさと纏めて外に出れば街灯が無ければ先が見えない程真っ暗になっていた。
あまり暗闇は好きでは無いが会社に泊まるのも嫌なので意を決して足を一歩踏み出せば後ろから声を掛けられた。
振り向けば何時ものコートを着たコナーが立っていた。

「コナー?」
「おう。お疲れさん」
「あ、うん。…じゃなくて、どうしてここに?」
「ん」

ポケットを探ったコナーは何かを取り出すとそれを僕に投げ渡した。
黒と金のリボンでラッピングされた赤い箱だ。
札が付いており読むと「Happy Vakentine」と書かれてあった。
コナーを見ると恥ずかしいのか顔を赤くしてそっぽを向いていた。

「あー。お前、甘いの好きだろ?それと、たまにはこんな行事に参加するのも良いかと思ってよ…」
「…うん、大好き。ありがとうコナー」
「おう。おら、帰るぞ!」

コナーは早口で言うと僕の手を取り引っ張る様に家へと向かった。
不器用だけど優しい恋人を持って僕は幸せ者だなぁ。