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好きだからに決まってる

「よぉ、トラファルガー」
「…チッ」


奇遇だなぁ。なんて言いながら、ニヤニヤと笑みを浮かべて前から歩いてくる男に舌打ちを一つ。
シャボンディ諸島で会ってからというものの、何かと絡んでくるユースタスにトラファルガーは苛立ちを隠せなかった。


「舌打ちたぁつれねえな」
「うぜえ。触んな」


勝手に肩にまわされた腕を邪魔そうに払いのけ、歩く速度を速めた。


「…ついてくんな」
「俺もこっちに用があるだけだぜ?」
「チッ…うぜえ」


一人でいても視線が煩わしいというのに、三億超えの男と並んで(非常に不本意だが)歩いている事でいつもの倍以上は視線を集めている。
どうやってこの男を引き離そうか…そもそも何故こうも絡まれるのか。
トラファルガーはちらりとユースタスを盗み見た。
ユースタスはそんなトラファルガーの視線に気付いていないのか、何かを探すように店を見ていた。
気付いたら足が止まり、それに気付いたユースタスも止まった。


「トラファルガー?」
「…んな…だ」
「あ?」


トラファルガーの声が聞こえずユースタスが少し屈んで近付くとトラファルガーは俯かせていた顔を上げ、目の前の赤を睨みつけた。


「なんなんだてめえは!どうして俺に構う!」
「はぁ?どうしてってお前そりゃ……あー、ちょっと来い」
「なっ!ちょ、離せっ」


ユースタスは言い辛そうにその鮮やかな赤をグシャグシャに掻き乱すと、トラファルガーの腕を掴み人目の少ない路地裏に入った。
暫く歩くとユースタスはピタリと足を止め、離せ離せと言いながら腕を振り回すトラファルガーに向き直った。


「ユースタス屋!いい加減離しやがれ!」
「逃げねえと誓うか?」
「誰が逃げるか!」


じゃあはい。なんて軽い言葉と共に掴まれていた腕がやっと解放された。
ジンジンと痛む腕に絶対痣になっていると思い、少しでも和らぐよう腕を摩った。


「で?こんなとこまで連れてきてどういうつもりだユースタス屋」
「あんな注目集めた中で話すもんじゃねえだろ」
「アァ?何が…っ」


肩を押されて薄汚い壁に背中を押しつけられる。
両腕はそれぞれ顔の横と腰の横で固定され、身動きが取れない。
足の間にもユースタスの右足が入り込んでいて、全体的に


「近ぇよ」
「くくっ、随分と余裕そうだなトラファルガー。自分の状況わかってんのか?」
「チッ…どういうつもりだ」
「てめえはさっきからソレばっかだな。他にねえのかよ」
「ユースタス屋の行動が不可解すぎるからだろーが。説明しろ」
「この状態でもわかんねえの?」
「あ?だから近ぇって」
「そうかよ。なら…」


今まででも十分近かった距離がぐっと近付いた。
視界いっぱいの赤と伏せられた眼、睫毛も赤いのかなんて考えていたら感じた唇の熱。


「ん?!ちょ、はなれっ…んんっ」


急速に回転した脳からの指令で顔を離そうともがくが、悔しいかな相手の方が若干身長が高いためか上から押さえつけられるようにして塞がれる唇はなかなか離れない。
しかもつい口を開いてしまったが故にぬるりとした生温かいものが咥内に侵入してきた。


「んっ…んぁ、ぁっ…はっ」


殺す。こいつ後で絶対殺す。なんて心中で目の前の赤に悪態をつきながらも、咥内で動きまわる舌に快楽が身体を巡る。
水音が路地裏に響き、それがまたトラファルガーの快楽を誘う。
つい夢中になっていて気付いたら両腕は解放され、後頭部と腰に腕が回っていた。
トラファルガーは解放された両腕をユースタスの首にまわし


「…ぐっ」


鳩尾に膝を入れた。
不意打ちでもろにくらったユースタスは鳩尾を押さえながら噎せこんだ。


「て、めえ…なにすんだ!」
「それはこっちのセリフだバカスタス!いきなりキスしやがってホモかてめえ!」
「あぁ?!説明しろっていったのはてめえだろーが!それに俺はホモじゃねえ!」
「だからどうしてそれが野郎同士でキスすることになるかって聞いてんだよ!」
「あー!くそっ!だからっ」


ユースタスはガンッと音をたててトラファルガーの後ろの壁を殴ると、まっすぐにトラファルガーを見つめた。


てめえが好きだからに決まってんだろ?!


(………は?)(はとか言うな。くそっ、やっぱ気付いてなかったのかよ)(え、今お前好きって、え?)(だから好きだっていってんだろ!じゃなきゃ態々野郎に構うかよ!)(え、ユースタス屋お前ホモ?)(だからホモ言うな!お前意外の男に興味ねえよ!)(……ふ〜ん。ユースタス屋が俺をねぇ)(…んだよ)(別に?じゃああれか。前の島で酒奢ってくれたり、前の前の島で絡んできた男ぶっ飛ばしたり、その前の島でもふもふのクッション買ってくれたのもあれか、ぜ〜んぶ俺が好きだからか?)(くっそ、悪ぃかよ!てかニヤニヤすんな!)(へ〜、ほ〜、ふ〜ん)(チッ、だせぇ)(フフッ、じゃあまずは酒飲みに行くか。おら、なにぼさっとしてんだ。行くぞ、財布)(誰が財布だ!)(フフッ、美味い酒が飲めたらご褒美でもやるよ)(は?おい、ちょ、それどういう意味だよ!おいトラファルガー!)



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不発。へたれキッドさんになってしまった。
違うんだ書きたかったのはツンツンキッドさんとツンツンローさんで、お前らホントに仲良くする気ある?みたいなのが書きたかったんだけど…
なにをどうしたのかこんな感じに…


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