Novel | ナノ
俺のだって

ガチャリと許可もなく船長室のドアが開いた。


「誰の許可得てココに居やがる」
「てめえんとこのマスコットが簡単に通してくれたぜ?」


ゆっくりと後ろを振り返ると、そこにいたのはニヤニヤと笑みを浮かべる自身よりも賞金額の高い男――――ユースタス・キッドだった。


「マスコットじゃねえ。ベポは戦闘員だ」
「そいつはすまねえな。てっきりてめえの趣味で乗せてんだと」
「次、ベポをバカにしたら消すぞ」
「そう怒んじゃねえよ」


折角来てやったんだぜ?この俺が。なんて偉そうに言いながら、ユースタスは持っていた酒瓶をテーブルの上に置いた。
トラファルガーはユースタスに怪訝な表情を向けた後、置かれた酒瓶に目をやった。


「…なんのつもりだコレは」
「別になんてことはねえ。ただこの間ヤり合った船からの戦利品ってだけだ」
「その戦利品を態々届けに来たのか?三億のてめえが」


トラファルガーはくだらないと鼻で笑うと窓の外に視線をうつした。


「なにをイラついてんだトラファルガー」
「てめえには関係ねえだろユースタス屋」
「関係ねえ、なあ…」


そんなトラファルガーにユースタスは仕方がなさそうに軽く両肩を上げると、トラファルガーとの距離を詰めた。


「っ?!なっ、離せユースタス屋!」
「命令するな。ってな」
「バカにしてんのかっ、てめえ!」
「バカにしてんのはてめえだろーが!」
「っ?!」


ユースタスはどこかふざけたような笑みを消し、トラファルガーの腕を掴む手の力を強めた。


「電伝虫にもでねえ、前の島で言った航路も通らねえ、漸く見つけたかと思えば碌に飯も食ってねえ上に睡眠もとってねえ!」
「そ、んなのっ、ユースタス屋には関係ねえだろ?!」
「あるからこうしててめえんとこまで来てんだろうが!」
「なん、で――」


トラファルガーは今まで吊り上げていた眉を下げ、泣きそうにくしゃりと顔を歪めた。
ユースタスは痕が残るほど強く握っていた手を離し、その細い腰に腕をまわした。
前回胸の中に抱きしめた時より明らかに薄くなった身体を壊れないように優しく、けれども離さないように強く抱きしめた。


「何度も言わせんじゃねえ。てめえは―――――」


俺のもんだって言ってんだろ


(で、説明しやがれ)(…)(あ?ブロンドの長髪を横抱きだぁ?いつの話ししてんだてめえ。見間違えだろ)(俺がユースタス屋を見間違えるわけないだろ?!前の島を出港する昼に)(昼?ブロンド、横だ…あ)(ほらみろ!思い当たる節があるんじゃねえか!)(おま、それ、ははっ!)(なに笑って)(勘違いすんなよ。ありゃキラーだ)(は?)(あん時いろいろあってな〜。つーかよぉ)(な、なんだよ)(嫉妬だろソレ)(は…はぁ?!ち、ちげえよバカスタス!)(くくっ、てめえにもカワイイとこがあんじゃねえか)(だからちげえって言って)(ま、取りあえずオシオキな)(は?ちょ、まっ)(文句なら後で聞いてやるよ――そんな気力が残ってたらな)



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サブの文が長いのはミスです。いや、あの、書きだしたら止まらなくなってしまって。本編で書けよ的な要素とかありすぎて申し訳ないっす。ツンツンしたローさんを書こうと思ったんだけどうまくいかない…結局乙女思考なローさんで…勉強します。


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