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ピジョン・ブラッド

寒い、冷たい、苦しい、辛い、痛い、助けて、助けて、助けて助けて助けて―――

暗くて冷たい闇の中で出会ったのは、暖かくて優しい、太陽みたいな男だった。


柔らかくて暖かい。
久しく感じていなかった感覚に埋もれる。
寝惚け眼を擦りながら起き上がると見慣れない部屋。
そういえば人の家だったと昨日の事を思い出す。
ユースタス・キッドと名乗った男は変な男だった。
見た目に反してお人よしなのか知らないが、見ず知らずの明らかに怪しい男を家に泊めるなど普通に考えたら可笑しい。
てっきり連れ込まれて犯されるのかと思ったのに家に入っても指一本触れず、それどころか距離を置いて接してくれた。
やっぱりおかしな奴だ。
それともこれからなのだろうか。
あの男のように――――


「……っ!」


思い出して震えた身体を落ち着かせるようにベポを抱きしめる。
昨日も感じた暖かくて優しい匂いがして、段々震えが治まってきた。
暫くそうしているとローのお腹が小さく鳴った。
もうキッドは起きているだろうかと思いながら寝室から出て、リビングのドアをそっと開ける。
ドアの隙間から中を窺う様に覗き込むとキッチンにキッドはおらず、代わりにソファから長い足と赤い髪がはみ出していた。
まさかと思いそっと近付くと、案の定キッドはその大きな身体を狭そうに縮めながらソファに横になっていた。
ローは自身が寝ていたのが客室ではなくキッドの寝室だった事に気付いた。
なんで俺なんかをベッドに寝かせて自分は狭いソファで寝てるんだ。
バカなんじゃないのかコイツ。


「………変な奴」


ぽつりと声が漏れた。
その声に反応したのか、今まで寝息をたてていたキッドは身じろぐとゆっくり眼を開けた。
何回か瞬きをすると足元に立っていたローに気付き身体を起こした。


「早い、な…何時だ?」
「………10時」
「そうでもないか……って!ローお前しゃべっ」
「………」


大きな欠伸をしながら時計を探すキッドに時間を教えてやると、答えたローに驚きソファから落ちた。
失礼な奴だ。
昨日も話しただろう………少し。
厳密にいえば自分の名前とベポしか言っていないが、さっきだって別に昨日と同じ程度なのだから驚くことでもないだろうに。
フンっとそっぽを向いたローにキッドが慌てて謝り話をそらす。


「悪ぃ悪ぃ。あー…腹減っただろ。すぐ作るから座って待ってな」


テレビ見てていいしと言ってリモコンを指差すと、キッドはソファから退いてキッチンに向かった。
ローはキッドに言われたようにソファに座りテレビをつけようとリモコンに手を伸ばした時、あ、とキッドが振り返った。


「おはよ」


柔らかな笑みと共に告げられた朝の挨拶にローは何も返さなかった。
いや、返せなかったのだ。
なんせそれはローにとって初めての経験だったから。
ローはソファの上でベポと両膝を抱え、ベポに顔を埋めた。
――――本当にアイツは変な奴だ。



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みたいなロー視点でね。いや、あの、うん。連載とかやめとくことにしました。
だってやっぱりこの話しって行きつく先みえみえだし、何番煎じ感やばいしで。
赤の苦労の感想いただいちゃったりして、どっちかっていうとそっちの続きが頭に浮かぶ浮かぶ…褒められるとのびるタイプなんですよね。
というわけで、ズルズル続けても面白くないので、アウイライトはこれで!
まだ出会っただけだけど!なんも絡んで無いけど!全然キドロ感無いけど!
どうしても続き書きたくなったらこっそり追加します。ごめんなさい!


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