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一緒に住もう

燃えるように赤い髪とか、射抜くような鋭い眼とか、広い背中とか、逞しい腕とか、温かい掌とか、全身に響くバリトンの声とか、上げ出したらきりがないくらい俺はアイツのことが好き。
ぎゅって抱きしめられながら耳元で名前を囁かれると、力が入らなくなってなんでも許してしまう。
大きい手で顔を包まれて眼の下の隈を撫でながら心配そうな顔で見つめられると、ちゃんと寝ようって思う。それが実行されるのはもって3日だけど。
しょうがないなって頭を撫でられると嬉しくなって顔が緩む。
赤い瞳に射抜かれながらするキスは快楽が一瞬で身体を巡る。
つまり何が言いたいのかというと

「ユースタス屋のこと好きすぎて日常生活に支障が出るんだけど」
「は?」

洋楽雑誌を読んでいたユースタスは顔を上げトラファルガーを見て首を傾げた。

そもそもトラファルガーはユースタスの家に来たにもかかわらず、何語で書かれているのかさっぱり分からない様な本を読みだした。
それを見たユースタスは邪魔をするとその後も構ってもらえなくなる事を身を持って経験していたので、黙って自分も雑誌に目を通していたのだ。
それから一時間程たったころになんとなくトラファルガーからの視線を感じてはいたが、特に何か言ってくるわけでもないのでどうしたのかと声を掛けようとした矢先にトラファルガーが口を開いた。
しかしその発せられた音の内容を理解することが出来ずユースタスは疑問符を浮かべた。
今此処だ。

トラファルガーは今なんて言った?俺の聞き間違いじゃなかったら、ユースタス屋のこと好きすぎて日常生活に支障が出るんだけど。って言わなかったか?いやいや、トラファルガーがそんなこと言うわけ…なあ?それに好きすぎて日常生活に支障って…無い無い。俺の聞き間違い。空耳だ空耳。

「あー悪い、よく聞こえなかったわ。もっかい言って」
「だから!お前の事好き過ぎて日常生活に支障が出るんだけどどう責任とってくれんのって言ってんの!」

空耳じゃない、だ、と…ってふざけてる場合じゃねえ。

「ちょ、落ち着け。何がどうなって生活に支障がでるんだ」
「だって!四六時中ユースタス屋のことばっかり考えちゃって、レポート課題も全然進まねえし!夜ベッドで一人だとなんか寂しくて眠れねえし!俺といない時何処で誰と何してんのか気になるし!それからそれから…」

バンバンとソファを叩きながらトラファルガーの口から出てくる言葉たちはただただ俺を喜ばすものばかりだった。
なんだこいつ可愛過ぎんだがどうしてくれよう。

「あー、じゃあさ…」


一緒に住まねえ?


(……えっ?!)(結構ずっと思ってたんだけどよ。あー、でも、二人で住むんならもっと広い部屋がいいのか?)(え?え?)(まあそれは追々考えっか。取りあえず今日は泊れよ。明日荷物とか片付けとかしにいこーぜ)(う、あ…)(ん?どーした?)(えっと…うん。なんでもない)(あ、ロー)(な、に?)(俺だって四六時中お前の事愛してんぞ)(…っ!)




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