普通の人間だと思った。いやそんなのは当たり前なんだろうけど、あたしの周りにそんな普通のやつなんていなかったからだ。ある意味で新鮮だった。いきなりキレて追いかけ回したり訳の分からない事を言い出したりナイフを常備していたりなんて事は一切無かった。ただちょっと口下手なだけで、あとはもうあたしの中で彼は完璧だった。

『将来的には京ちゃんみたいな人と結婚したい』
「なんだ、いきなり」
『よくよく考えたら何ていい男なんだろうと思って』
「頭打ったか?」
『その返しとか最高』
「…お前大丈夫か」

いきなりなあたしの発言に驚き…じゃないな、何言ってやがるこいつおかしいんじゃねーの。的な顔で見てくる京ちゃん。

『あたしは至って普通だよ、どこにでもいる普通の女子高生』
「普通の女子高生は折原臨也に毒付かねぇし平和島静雄にも近寄らねぇよ」
『…む、確かに』
「あの二人に好かれたお前はもはや普通の女子高生ではないって事だ」

なんだよそれ、人を化け物みたいに言いやがって。京ちゃんのバカ野郎。でも確かにな、と自分でも思うから言い返せない。

『好かれてんのかあたし』
「臨也が女を誘ってどっかに行くとか他人に見返り求めず金を出してやるなんてありえないだろ」
『確かに』
「まぁ静雄は見てりゃ分かる」
『んだね』
「その辺を含め、お前は他の女とは違う」
『それって褒め言葉?嫌味?』
「さあな」
『じゃあ京ちゃんにとってあたしは特別ってわけだ』
「…まぁ、ある意味」
『褒め言葉として受け取っておこう』

京ちゃんと出会ったのは高校の入学式。髪が真っ赤で耳にデカイ飾りをぶら下げていた私は早々に三年のギャル軍団に呼び出されたのだ。あぁ、これが漫画でよく見る呼び出しってやつか。と客観視していた私に更に腹を立てたギャルがいきなり蹴りを繰り出してきたので反射的にそれを交わし鳩尾に一発。食らわせてやったら驚いたギャル達が逆上して私に襲いかかってきた。あの時のギャル達の半狂乱な姿は今思い出しても相当面白い。そして私は小学生から中学二年までやっていた合気道と静雄に教わった技を繰り出し片っ端から薙ぎ倒してやった。ところで京平に遭遇したんだ。とゆうかいきなりこいつが現れた、どこからともなく。

『そういやあの時なんであんな所にいたの』
「あの時?」
『あたしがギャル狩りしてた時』
「…」
『あんな所、通らないでしょ』
「あぁ、お前が連れてかれんの見てたから」
『え、そうなの』
「まぁ」
『じゃあ助けてくれようとしてたんだ?』
「そのつもりだったんだけどよ、行ってみたらお前が笑いながら熊みてぇに全員薙ぎ倒してるから」
『やられたら倍返し、がモットーだから私』
「それにしてもすげぇ笑顔だったぞ」
『そう?』
「あの時点でお前はもう普通の女と掛け離れてたろ」
『う〜ん』
「あの頃から俺の中で◎◎はずっと特別だ」
『うわぁすごい口説き文句』

京ちゃんにこんな事を言われて落ちない女なんていないだろう。あたしだって、今のはキた。心臓持ってかれた。もういいから結婚してくれないかな門田京平。

「でもお前はすぐに手が出るからな、あれは直した方がいい」
『仕方ないよ反射的に出ちゃうんだもん』
「危ないだろ」
『そうかな』
「相手が静雄みたいなヤツだったらどうすんだよ」
『そりゃしぬわ私』
「まぁ普通はみんなしぬか」
『うん、そうだよ死なないのは臨也くらいじゃない』
「…だな」
『臨也の生命力ってG並みだよね』
「ゴキ…」
『あああその先は禁句だよ京ちゃん』
「お前ヒデェな」
『だってそうじゃん』
「…まぁな、確かに」

臨也って例え鈍器で殴っても死ななそうだもん。あ、でも生命力なら静雄の方が強いのか。どっちにしろこの二人は普通の人間じゃない。

「◎◎、ドタチン何してるのこんな所で」
『あ、噂をすれば』
「噂?俺の?」
「あぁ」
『そうだよ〜』
「やだなぁ二人して、一体何の話し?」
『京ちゃんと結婚したいなって話し』
「おい」
「ヤダなぁ◎◎、俺ドタチンとはあんまり争いたく無いんだけどな」
「やめろよ臨也」
「で、それと俺がどう関係あるの」
『あと臨也の生命力はG並みだよねって話し』
「それは聞き捨てならないなぁ」

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