怖い、なんて思った事は一度も無い。確かに力は強いしすぐキレるしキレると周り見えなくなるから面倒だったりするけど。とてつもなく不器用な男ってだけで。

『おはよー静たん』
「その呼び方やめろっつーの」
『可愛くない?』
「俺に可愛さなんていらねーんだよ」
『だって静雄に足りないのはあと可愛さだけだと思うんだ』
「意味分かんねぇよ」

何故かみんなが恐れる静雄くん。彼とは中学からずっと一緒でしかもずっと同じクラスという奇跡に近い感じの関係だったりする。

「◎◎お前昨日臨也のアホ野郎と放課後どっか行ってたろ」
『あれ、なんで知ってんの〜』
「新羅が見たって言ってた」
『そうなんだよ、無理矢理連れ回されて(本当はあたしが誘ったんだけど)』
「そういう時はすぐ俺に連絡しろっつったろ」
『でも楽しかったしいいんだ』
「楽しかった?お前頭大丈夫か」
『失礼な』
「とにかくあんまあいつには近寄るなよって何回目だこの台詞」
『いーじゃんべつに、臨也キモいしウザいけど奢ってくれるし服も買ってくれるしいいヤツだよ』
「金じゃねーかよ」
『まぁね』

静たんが嫌がる理由も分からなくないんだけど、臨也の事は嫌いじゃない。臨也もなんやかんやであたしには普通に絡んでくるし。それに何より、あたしが臨也といる時の静たんの不機嫌丸だしな顔がたまらない。こんな怖い顔しといて結構嫉妬深いところとか、そこがまたいい。怒らせたいって思う。

「やぁ、◎◎」
『あー臨也、ナイスなタイミングだよ』
「そう?」
『昨日はどうも』
「いや、良かったらまた付き合ってよ」
『べつにいいよ』
「◎◎は我が儘だしサドだし性格が捻くれてるから好きなんだ」
『そりゃどーも、全然嬉しくねーけど』
「イザヤ、てめぇ」
「あ、シズちゃんいたの」
「◎◎に近寄るなっつってんだろうがァァァア!」
「やだなぁシズちゃんてば、意外と嫉妬深いんだから」
『そうなんだよねー』
「殺すぞコラァァァア!」
「じゃあ◎◎、また連絡するよ」
『あーい』
「イーザーヤァァァア!」

静雄の攻撃をかわしながら軽快に逃げて行く臨也。ほんとにすばしっこいなぁ。それにしても静雄ってばあんなに怒っちゃって。もうあれは周り見えてないや。あ、窓ガラス割った。

「◎◎」
『あぁ、おはよう新羅』
「朝から騒がしいなあの二人は」
『そうなんだよ全く』
「止めなくていいのかい?」
『いいの』
「君しか無理なのに」
『そうだけどさ』
「うん」
『だって面白いじゃん』

静雄を怒らせるのはやっぱり楽しい。
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