そう、それはいつも通り。いつも通り異世界を回っていたときのことだった。
「呼び出した理由は?」
目の前にいる少年、ナナシに強制的に召喚されたのである。どういう理屈かは判らないが、文字通り召喚されたのである。わけのわからない術式のもとに。
「理由なんて決まってるでしょ秋津」
にっこり笑うナナシ。こいつの笑顔を見ていいことがあったためしがない。ああ、けどまあ、俺ももう大人だし、子供の遊びくらい付き合ってあげるくらいは余裕である。別に慣れたとかではない。

がたごと揺れる汽車に乗り、どこへ向かうのかと尋ねる。中央だよと言われたが初めての世界なのでそこがどこかは当然判らない。ナナシからこの世界についての説明を軽く受けた。どうやらこの世界は「鋼の錬金術師」と呼ばれているらしい。なんでも錬金術といういかにもファンタジーが存在するらしい。
「まあ空想っつっても一応きちんとした術式があり理論があって出来るものなんだけどね。譜歌みたいなもんよ」
「フカって何」
「あー、行ってなかったっけ、アビス」
「ない。ただ難しいことってのは理解した」
「なら良いよ。どうせ秋津には出来ないだろうし」
どの世界にいってもナナシはその世界の能力が使える。俺はというとからきしだが。本人曰く「順応力があるから」とのこと。サッパリで。
「もうすぐ動きがあるから」
ナナシに告げられた。動き。どうせまたこき使われるんだろうなあ。そう思いながら窓の外を見た。汽車とか初めて乗ったかもしれない。こんなもんが走るんだから不思議だよなあ。まあ、鉄が空飛んだりするんだから電車や汽車は楽だろうけど。


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喰種もがんばってかいてるので次にあげれたらいいなと思っています…。
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