さかしら


殺伐とした机に山のごとく積まれたプリント、無造作に開かれた教科書やノートではうんたらかんたらと呪文のような数式や記号が躍っている。xだのyだのを無駄に駆使したAくんのひねくれたおつかいなんか正直どうでもいい


「頭が沸騰しそうです、晋助先生」

「安心しろや、テメーの頭は年中沸いてる」

「もう無理、さっぱりわかんない」

「まだ一問も解いてねえだろーが」

「数学の教科書を見ると眠くなる病が…」

「寝んな、起きろ」

「あだっ」


テスト一週間前という黒板に燦然と輝く文字を見て一気に血の気が引いたのは今朝の話。毎回散々な結果をもたらす数学に不安を感じ、数学だけは妙に出来る幼なじみのお宅へすぐさま押し掛けたのだった。が、今ではそれをはげしく後悔している。晋助の教え方はスパルタだった、それはもう容赦なく。人選を間違えた私が悪いとは言え、いくらなんでもそんな分厚い辞典の角でなぐられる覚えはない。これ以上バカになったらどうしてくれるんだこのバカ


「数学なんか、テストなんか滅べばいいんだ!あと晋助も」

「口動かす暇があんなら公式のひとつでも覚えろ、あとテメーが滅べ」

「もっとわかりやすく教えてくれたまへよ晋ちゃん」


「文句の言う前にまず理解しようとしやがれ、やる気あんのかテメーは」

「ないです」

「…上等じゃねえかコラ、今日は徹夜でみっちり教え込んでやらぁ」


なんだってこんな鬼を選んでしまったのか、数時間前の自分の顔面ぶん殴ってやりたい。とは言え、後悔先に立たず。
とりあえず、Aくん。そのくそややこしいおつかいを無事に済ませてあげるからヘルプミー


090728 高杉/たかい

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