割り切った関係。なんて。口ではそう言っておきながら、割り切れないでいるのは多分俺の方だ。そうなることを薄々感じていながらコイツを誘ったのも、俺
「いつまでこんなこと続けるのかな、私たち」
「お互いの恋にケリがつくまで、そういう約束だ」
「そういえばそんな約束だったっけね」
「忘れてんじゃねえよ」
スルリと布団を抜け出すと辺りに散乱していた下着や服を拾っては身に付けていく女を見ながら、枕元のタバコへ手を伸ばし火を点けた。特有の倦怠感と虚無感が体を纏う
「…最近どうしてる」
「別にどうもしてない。平行線のままだよ」
「そうか」
「トシはどう?」
「こっちも相変わらずだ」
実際、俺のケリなんざとっくの昔についちまってる。それでも失いたくないと足掻き続け、結局今の今までここから抜け出せなかった。もう、何もかも失っていたってのに。このどうしようもねえ関係が始まったあの時から俺も、そしてコイツも
「ねえ。いっそこのまま私たちで付き合っちゃおうか」
「悪いがそいつは断る」
「うん。そう言うと思ってたんだけど、ちょっと言ってみただけ」
「…焦る気持ちも分かるが、卑屈になるのはやめろ」
「ごめん。大丈夫、ちゃんと分かってる」
身なりを整え終えた女はそれから少しだけ微笑み、「じゃあ、またね」と小さく言って静かに部屋を出て行った。遠ざかっていく足音、吐き出した煙に混ざる微かな残り香
「…今更、できるわけねえんだよ。そんなこと」
ああ本当に、とんだ笑い話だ
090217 土方
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