雲が空を悠々と渡り、その下を鳥達が自適に舞う。正に快晴、昼寝をするにはうってつけの日だ。そう思って、今し方見つけた手頃な木陰に陣取ってさっそく一眠りでもするかと目を瞑る。そうさな、目覚めは飯の頃合いだといい


「いだっ。ちょ、いてえっつってんだろ晋助ェ!」

「だったらそのでけえケツさっさと退かしやがれ、邪魔で仕方ねえ」

「あんだとチビ助、そのでけえケツでぺしゃんこに踏み潰してやろうか」

「上等だコラ」

「静かにせんか。銀時が目を覚ましたらどうする」


いや、覚めてるんですけど。此の場所に寝転んでからまだ幾分も経っていないのだから、当然一睡もしていない。隠れてひそひそやっているつもりだろうが、全て筒抜けだ。とは言え瞼を開けてやるのも億劫なので、今暫くこの狸寝入りを決め込み、良からぬ企みに付き合ってやろう


「そうじゃそうじゃ、やつが寝ちょる間にやらねば意味がないきに」

「ていうかもう起きてんじゃないの、絶対起きてるよアレ」

「心配あるまいて、一度寝付けばなかなか起きぬのがヤツの特技みたいなものだからな」

「どんな特技だよ」


高杉の意見に全くもってその通りだと内心思う。その上、幾ら何でもこうもあからさまにこそこそ騒がれていては起きたくとも起きられないという方が寧ろ合っているのではないか。正確な場所まで把握できないが、おそらく前方の庭木戸の裏。恐ろしく至近距離に居る


「兎に角、今が絶好の好機じゃ。早ようやるぜよ」

「せーの、で行くんだからね。出遅れんなよ晋助」

「てめえこそ精々すっころばねえよう、気をつけるこったな」

「そんじゃあ、せーの!」


女の掛け声を合図に、ザッと複数の草履が一斉に砂を蹴る。それぞれ一目散に此方目掛けて駆けてきたと思えば、いきなり重なる四つの声。そのあまりに突然で不意をついた内容に少しばかり驚いて起きていると知らせる事さえ忘れてしまい、目を開けた頃にはすっかり辺りは蛻の殻


「…おいおい、なんだってんだ」


寝てる時に限る必要があるのか、全くもって定かではないが。ああ、今日がそうだったろうか。てめえで忘れてりゃあ、世話ねえわな。頭を掻きつつ起き上がり、ふとみた足元。何本かの花と下手くそに包装された小さな包みに、思わず笑みがこぼれた


「誕生日おめでとう、銀時」


十月十日


081015 坂田生誕
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