「んん……あ、はあっ……」

「すごいねぇ。こんなにいっぱい濡らして」

「い、言っちゃや、あぁ……っ!ざっ、とさ……ざっとさぁ……ん」

「ほんとに清香はスケベで困るな」


怪しく光る片目と色気を含んだ大人の男の人の口元。
二本の指をあたしに突き立てながら、あたしを一人でイかせようとするの。そんなの、恥ずかしいって思うのに、でも、絶対やめて欲しくないとも思ってて、頭の中はぐちゃぐちゃ。

雑渡さんが掻き回すソコみたいにあたしの頭の中もぐちゃぐちゃになってる。
一回ドロドロになって体を作りかえるサナギみたいに、あたしも溶けて別の何かになっちゃいそうだ。





「清香、おまえいやらしすぎる」


そう言われたのはエッチの最中じゃなくて、ご飯を食べている時だった。
お茶のおかわりを注いで回るあたしにそう言った。


「ぶっ!」

諸泉くんがお茶を噴きだしたのも仕方のない事だと思う。
山本さんは雑渡さんのマイペースっぷりに慣れているのか、黙々とごはんを口に運んで、高坂さんも食べ続けているものの居心地の悪そうな顔だ。


「雑渡さん。今そんな事言わなくてもいいじゃないですか」

「いや、ちょっと思い出したら言わずにいられなくなった」

「お、お、思い出さないで下さいっ」


ちゅる、とうどんをすすって今度は全然違う話を始めた雑渡さん。忍術学園の伊作くんの話。


「いいよねぇ。ああいう純粋な子どもって」

「あんまり上がり込むのは感心しません。あそこは遊ぶ所ではないんですから」

「ふふふ。そんな事言って、尊奈門だっておせんべい用意して嬉しそうにするじゃない」


台所に戻る背中でそんな話を聞いた。あたしを叱った後で伊作くんを褒めるなんて意地悪だ。当てつけみたいに純粋だなんて。

雑渡さんがいやらしい事するからあんな風になっちゃうのに。
それともあたしがおかしいんだろうか。

雑渡さんの好みはもっと、おとなしくて黙っているくらいなのかもしれない。恥じらって、声も出せなくて、終わったら「お粗末さまでございました」って三つ指つくような。


そういえば誰かが「わざとらしい喘ぎ声って興醒め」って言っていた気がする。たまに声が漏れるくらいが一番興奮するんだとも。

流れる雲を見上げて、それをお布団に見立てた。
あたしと雑渡さんがそこにいて、あたしはかわいらしく抱かれるところを思い描いてみる。

空が眩しくてなのか、自分が叱られたからなのか、涙が出てくる。

えっちな事考えながら泣くなんてちょっと自分でも変だと思うけど、切ない。

気持ちよくて幸せな気分になってたのはあたしだけだったのかな……
雑渡さんは、変な声って思っていたのかと思うと恥ずかしくて悲しくて胸が潰されそうだった。









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