「ごちそう様でした。はぁ〜おいしかった」

「ドルチェがまだだぜ、杏珠チャン」


デザートまであるのかと嬉しくなって、食べたお皿をシンクへ運ぶ。彼もキッチンへ来て背の高い冷蔵庫を開けた。

カクテルグラスに冷えたラズベリー、クランベリー、ブルーベリーが盛られ、そこに優しいクリーム色のソースがかけられた。


「うわぁ、おいしそう!」

「ザバイオーネ、好き?」

「カスタードクリームじゃないんですか?」

「似てるけどね。もっと柔らかくて白ワインが入ってる」


ホラ、とボールから人指し指ですくって私の口元に寄せた。垂れそうになって慌てて舐めるとふわっとバニラの香りがして口の中ですぐに溶けてなくなった。最後にアルコールが鼻に抜けて、甘いのに大人の味。


「ほんとにフワフワで美味しい!このまま全部舐めちゃいたいくらいです」

「余ったからいいけど……俺はベリーと食うのが好き。そのままじゃ重くて」


とグラスのベリーを摘む。私もピックでラズベリーを食べてみた。甘いザバイオーネと酸っぱいベリーの相性は抜群だと思った。これならいくらでも食べられちゃう。


「恭介先生とお付き合いする人はみんな太っちゃいそうですね」

「太らないように運動するから大丈夫」


ニヤッと口角を吊り上げた先生は下心丸見えで、思わず目をそらした。


「ベッド行く?まさか男のウチに入っておいてタダで帰るつもりじゃないよな?」

「え……わ、私……」

「このままキッチンで料理して欲しい?」






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