賑やかで派手な宴会の席。
女中本来の仕事とは別に、こういう時はお酌をしながら殿方の相手をしなくてはならない。
城主には先輩方が付き、あたしみたいな下っぱは忍者隊のみなさんのお相手をしていた。
「小夜ちゃ〜ん!最近太ったでしょ?」
とか何とか言いながらお尻を揉まれた。
「きゃあっ!やめて下さいっ!」
「ここにも肉がついたんじゃないのか?」
他の人も一緒になって後ろから胸を鷲掴みにしてきた。お酒臭いその口臭に顔が歪む。
「イヤですってば!」
「そうカタイ事言わないでさ、お前も飲めよ」
無理矢理あたしの口にお猪口を突き付け、強いお酒を流し込んだ。
「ゲホッ……辛っ……」
むせて顔をそむけると、他の女中と忍者隊が視界に入った。みんな楽しそうにお酒を飲んでいる。
お尻を触られたって「あら、もう終わり?」なんて軽くあしらっては笑って一緒にお酒を楽しんでいた。
あたしにはできない……
逃げ出したい……
たくさんの人がいる中であたしはなんだかひとりぼっちになったような気持ちになってしまう。
「オッパイ見せてよ」
「イヤです!やめて下さい!本当にやめて!」
「金ならやるから」
「オッパイ出しておぜぜ挟んで〜」
「そりゃいいや!気取ってないで乳くらい出せよ」
羽交い締めにされて悔しくて唇を噛む。耐えていた涙が溢れそうになってきつく噛んだ。
逃げ出して仕事を放れば、後で先輩方から怒られる。そう思うと逃げられなかった。
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