あれから26年後。
41歳の春の事だ。
学園一ギンギンに忍者していると言われていた俺が今は全くギンギンできなくなっている。
卒業して戦忍びとして必死で駆け抜けてきた26年間。
そろそろ夫婦でゆっくり過ごそうと忍者を引退した。
が、それと同時にアッチの方が全く機能しなくなってしまったのだ。
「もういい……悪いな」
「ううん。あたしの力不足だわ」
「小夜のせいじゃない。もう寝よう」
「手は繋いでいて下さい。あたしはそれで満足だから」
その言葉は嘘だ。
俺が寝た後、夜な夜な指遊びで自分を慰めては俺の名前を呼んでいるのを知っている。
30を少し過ぎたくらいから小夜がまぐわいで得る快感は歳と共に深く強くなっていた。女は30からと言うが妻も例外ではなく、毎晩のように気を失うほど激しかったのだ。
それが手を繋ぐだけでその穴を埋められるはずもなく……
小夜を抱いてやりたいのに、まったく力を失ってしまった。
「おやすみなさい。文次郎さま」
「抱いてやれなくて、すまん」
「気になさらないで。きっとすぐに治ります」
治ると言われるほど無理な気がして気が沈む。
もう小夜を抱いてやれないかもしれないと感じていた。
性欲がないわけじゃない。小夜に飽きたわけでもない。
勃ったと思ったら途中で萎えてしまったり、勃ちが弱かったり、全く反応しない時すらある。
命がけで戦ってきた俺は、忍者でなくなった途端に雄でもなくなっていた。
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