「カップル喫茶に行ってみたいです」
そう言ったら照星さんが怪訝な顔をして「アホか」と呟かれてしまった。
友人から最近流行ってるらしい事、ドキドキして楽しいと聞いたからあたしも……と思ったのに。
カップル喫茶と言うからにはきっとロマンティックな音楽が流れていて、トロピカルな飲み物に2つハートのストローがささっていて……恋にちなんだメニューが並んでいたりするんだろう。
イチャイチャしやすいように仕切りとかあるんだろうな。もしかしたら個室かもしれない。
結婚情報誌やデートぴあが置いてあって、恋人同士が楽しめるようなカフェの事なんだと思う。
照星さんと行ってみたい。そう思ったから勇気を出して言ったのに。
やっぱりあたしを恋人とは思ってないんだろうか。それにあたしなんかとカップルとは思われたくないとか……
「やっぱり……恥ずかしいですか……」
「当たり前だ。馬鹿な事言ってないで仕事に戻れ」
額に青筋が浮いてる。そんなに怒らなくったっていいじゃない。
あんなに優しく抱くくせに、いざ恋人のように接すると突き放すんだ?
ひどい。
「わかりました。じゃあ別の人に連れていってもらいますから!」
「……本気で言ってるのか」
「はい。お忙しい所を失礼いたしました!」
フンと怒りながら涙を堪えた。早足でレストルームに向かってそこで泣いてしまった。
遊ばれてる。あたしだけが本気なんだ。
それが辛くて悲しくて……切ない。
体から始めてしまった罰なのかな。もう彼女に昇格する事はできないのかも。
遊び女のレッテルを一度貼られたら、もう本命は絶望的に思えた。
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