恐怖の服装調査 | ナノ
#恐怖の服装調査


朝のホームルームで、担任の雛川が言った。

「みんな、おはよう。突然ですが、今日はこれから服装調査を行います」

その一言にどよめく生徒たち。抜き打ちテストならまあ諦めはつくが、抜き打ち服装調査は正直勘弁してほしい。

「みんな静かに!先生は、みんなのためを思って服装調査を行うことにしたの」

雛川曰く、受験も控えていることだし、面接等に備えて、普段の生活、身だしなみをしっかりした方が良いと思う…とのこと。
先生の言うことも一理あるが、まだ納得できない生徒が大多数であった。
生徒の反対の声の中、雛川は心の中で

『ごめんなさいね』

と、あやまりながら、生徒一人一人の席をまわり、服装調査を行った。

『こんなことになるなら、1時間目の授業まで寮で寝てればよかった…』

だるそうに机に足をあげて、あくびを噛み殺している皆守の元に、雛川がやって来た。
皆守自身、制服を改造したりしているわけではないので、とくに突っ込まれはしなかったが、学生服のボタンやホックをしっかりかけるように、ライターなど授業に関係ないものは、持ち込まないことと注意された。

『…ライターで注意されるんだから、そーちゃんはどうなるんだ…?』

皆守は親友の席の方をちらりと見ると、その親友は青ざめた顔をして、眉間にシワを寄せ、額に冷や汗をうかべて口をへの字にして、大層困った顔をしていた。

『やべっ、どうしよう!いきなり服装調査はないだろっ!!先生は鬼だ!!!かわいい皮を被った鬼なんだ!!!!ちきしょー、人は見かけによらないとはこのことかっ!!!!?服装はともかく、現在の所持品がバレるとまずい!!どうする、どうすればいいんだ!どうやってこのピンチを切り抜ける!?俺ーーっッ!!!!!』

一人焦っている蒼太は、ぐるぐると思考を巡らせるが、なかなかいい名案が浮かばない。
服装については、別に問題はないのだが、一番の問題は所持品である。
学生服の下のベストには爆弾数個、予備の弾薬。生活費の足しにと毎度拝借している校内備品数点。
腰ベルトにはハンドガン、コンバットナイフを収納。おもいっきり授業に関係のない物騒な所持品のオンパレード!
こんなものを所持していると知られては、クラスメートにまで《宝探し屋》ということを話さなくてはならない。
さて、どうするべきか…。悩んでいると、雛川がやって来た。

「風晴君、服装調査を…」

「ごめんっ…!先生ッ!!」

―もう、これ以外に手はない!!―

蒼太はばっと席を立つと、学生服の下のベストからゴム風船を取り出して投げつけた。

「きゃあ!」

ゴム風船が割れると、辺り一面が白い粉につつまれる。

「ケホッケホ…」

雛川が白い粉…小麦粉にまみれ、むせているうちに、蒼太はさっさと教室を脱出した。

「風晴!ナイス!!」

服装調査されるのが都合の悪いクラスメートたちも便乗して、教室から逃げ出した。
かくして蒼太は、クラスメート(反服装調査派)の英雄となったが、後程雛川に見付けられ、厳重注意と、一週間教室掃除という罰を受けることとなった…。

「こ〜ちゃん、掃除手伝ってくれよ〜」

「…仕方ねーな、とっとと片付けて帰るぞ」





あとがき
服装調査というより、持ち物検査っぽくなってしまった感が否めない( ̄▽ ̄;)
ま、いいか。
2009年1月25日
風の字

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