純情少年？ | ナノ #純情少年？
新しい土地で、朝からマリベルと一緒に情報収集をしていたのだけど、たいした収穫もないまま、すっかり日が傾いてきた。
日中の暖かい風とは違い、夕暮れの少し肌寒い風に、僕はぶるぶると身を震わせた。
上半身は裸で、赤黒っぽい色の腰巻きに、これは…前かけなのかな？
黒のだぶっとしたズボンに、両腕に巻いたバンテージ、黄色の手袋、ブーツ。
頭には、特に被るものはなし。
首に巻いてあるマントは、黄緑色のすこし長めのくたびれた布きれ。
こんな布でも、ないよりは、あるほうがずっといい。
まものハンターに転職した僕の格好はこんな感じだ。
「こんな格好じゃ、風邪引いちゃうよ」とつぶやく僕に、マリベルが言った。
「ナントカは風邪引かないって言うし、あんたなら大丈夫ね」
そういう問題じゃないと思うけど…。
きっとマリベルは、僕みたいに寒い格好をしていないから、そんなことを言えるんだよ。
マリベルの格好を見てみれば、首には、僕と同じように、黄緑色のマントを巻いていて、いつもはおろしている髪を、後ろで一本に束ねている。
花のように白い肌、か細い首筋、うなじが露になっていて、そのラインがとてもきれいで…、思わず僕は息をのんだ。
少しの間、みとれてしまっていた…。
華奢な肩も素肌が露になっていて、手には赤茶色の手袋を装備。
上半身は、白と赤のチューブトップみたいなもの？をまとっているけど、寒くないのかなぁ…？
赤色のミニスカートは、両側に少しスリットが入っていて、…その、ちらりと太ももが見える。
スカートは、紫色の帯を巻いてとめているのかな？
足元は、黒のニーハイソックスと、少しヒールのある赤茶色のブーツをはいている。
…えっと、黒のニーハイソックスと、赤のミニスカートの色が、わずかに露になっている白い太ももをよけいに際立たせているように見えて、………。
…なんと説明すればいいんだろう、恥ずかしくなってきた。
正直な話、目のやり場に困ってしまう。
何だかマリベルが女の子なんだなと、妙に意識してしまって、どうにも落ち着かない。
心臓が不規則に脈打っているし、熱があるみたいに、顔が真っ赤になって、ほてってきちゃったよ。
この気持ちが落ち着くまで、マリベルに気づかれないように、視線をそらしてうつむいていようか…。
そう思っていたのに、僕の様子が変だと思ったのか、マリベルが僕の顔をのぞきこんできた。
「ちょっと、アルス、どうしたのよ？さっきから黙ったままじゃないのさ」
「…いや、その…」
「なによ、顔が真っ赤じゃない！大丈夫なの？あんた本当に風邪ひいたわけ？」
マリベルのことを意識して、こんな状態になっているだなんて、恥ずかしくて伝えられるわけがないよ。
なんとも言えずに黙っていると、マリベルは手をのばして僕の前髪をかきあげると、自分のおでこをくっつけた。
…か、顔が…近い…。
心臓が、口から飛び出すんじゃないかってくらいに、激しく高鳴っている。
顔だって、火が出そうなくらいに、真っ赤だと思う。
ふと、マリベルの澄んだ翠色の瞳と目があった。
こんな近くで目が合うのは恥ずかしくて、思わず僕は、ぎゅっと目をつぶった。
「すごい熱じゃない！情報収集なんて切り上げて、さっさと宿に帰るわよ」
マリベルは、くっつけていたおでこをはなすと、僕の腕に自分の腕を絡めて、引っ張るように歩きだした。
「本っ当にアルスってば鈍いんだから！自分の体調の異変くらい、気がつきなさいよね？！」
風邪を引いた訳じゃないんだよ。
それに、僕のことを鈍いと言うけれど、マリベルだって鈍いと思うよ。
さっきから、腕にマリベルの柔らかいのが当たっていて…、その………。
「ちょっとアルス、聞いてんの？…って、あんた、ますます顔赤くなってるじゃないのさ！！熱上がっているの？寒気しない？」
「寒気は…ないよ」
むしろ、暑すぎる。
「そ、宿まであとちょっとなんだから、頑張って歩きなさいよ。あんたが倒れたって、あたしは運べないんだからね！」
僕を励ましながら、少しスピードを上げて、引っ張るように歩くマリベル。
「宿についたら、おかみさんから風邪薬をもらって、飲んだらすぐ寝るのよ？」
マリベルはそう言うけど、風邪薬なんか効かないよ。
だって、僕にとっての一番の特効薬は…
君、なんだから。
あとがき
果たして純情なのか？(笑)
思春期まっさかりのアルス視点での話。
アル→マリかな？？
リメイク版のドラクエ７は、職ごとにグラフィックが変わるのは結構楽しくて嬉しいです。
それはともかく、うぶなアルスからすれば、気になる女の子の肌があらわになっているとなれば、どうにも落ち着かない、目のやり場に困ってしまうだろうといった話です。
ましてや、マリベルの普段の服装は、露出度が低いわけですから、いつもと違う露出の多い姿に、余計にドキドキしてしまうと思います。
大変だなアルス！頑張れ(笑)
そして、マリベルの無意識の行動に、ドキドキしてればいいと思います(笑/逆もしかり)
2013年4月21日 風の字