大掃除 | ナノ
#大掃除


三角巾に割烹着、口元を手拭いで覆った姿の白が、雉明に肩車をしてもらい、本棚の上をはたきで叩くと、辺り一面にもわっと埃が舞い上がった。

「ケホケホ…。晃輝、其方が普段から掃除を怠るからこの様じゃ。」

「んなこと言っても、そんなにまめに掃除していられないからな。」

晃輝は、足元に転がっているおもちゃ(武器)を抱えながら、封札の仕事、学校の勉強で忙しいと言うと、白は、掃除も勉強のうちじゃ!と言い返した。

「わかったよ、白。来年からは、コツコツ掃除するから…。」

白をなだめるようにそう言うと、

「まったく…、其方は本当にわかっているのかえ?」

白は、ブツブツ文句を言いながらも、再び高所ではたきを振るい、埃を払っていった。
晃輝は、白の文句に苦笑いしながら、抱えていたおもちゃを段ボールに突っ込むと、肩車をしている雉明を見た。
器用に、肩車をしながら本を読んでいる。

「零、なんの本を読んでいるんだ?」

「古典落語の本。やっぱり、落語は面白いな。」

晃輝は、そうだよな!と、雉明の意見に同意すると、俺はこの話もお勧めだ!と、違う本を棚から取り出して、ページをペラペラとめくってみせた。
ああ、これはまた面白い話だと雉明が感心していると、白が、はたきで二人の頭をパタパタと叩いた。

「…お主らは、ほんにのんきじゃの…。落語なぞあとにして、体を動かさぬか!これでは、年越しに間に合わぬ。」

「うえぇッ、わかったから、埃っぽいそれで、俺達の頭を叩くなよ。」

晃輝が叩くのをやめさせようと、白からはたきを取り上げようと手を伸ばすと、白はその手をかわして、再び二人の頭をパタパタと叩いた。

「妾は、お主らの頭にたまっておる、今年一年分の埃を払っておるのじゃ。」

くすりと笑って、パタパタと頭を叩く白に、白も楽しそうでよかったと、雉明がのんきに笑って言った。
やれやれと、白からはたきを取り上げるのを諦めた晃輝は、再び足元に散らかっているものを片付け始めた。


***


「なんとか、片付いたな。」

晃輝が、綺麗に片付いた部屋を見渡してそう言うと、

「うむ!」

「これで、年が越せる。」

白と雉明も満足げに頷いた。
綺麗になった部屋で、各々まったりとくつろいでいると、

ガラガラガッシャーン!

『きゃあああッ!…どうしよう。』

居間から、派手に物が壊れる音と、女の悲鳴が聞こえてきた。

「まったく…、年の瀬じゃというのに、相変わらず落ち着きのない女子じゃ…。ほれ、みなで朝子を助けるぞ!」

戦国時代の総大将が采配を振るうがごとく、白がはたきを手にし、大きく振るって号令をかけると、晃輝と雉明はわかったと頷いた。
呆れたような、それでいてどこか楽しそうな様子の白と、真剣な表情だが、やはりどこか楽しそうな様子の雉明。
晃輝はそんな二人を見て、どうか来年も良い一年になりますように…と、心の中で小さく祈った。




白の言い回しが難しい(^_^;)
勉強不足ですね。
うちの主人公は落語研究会ですから、零とは落語で意気投合しています。
朝子先生は、破壊活動をしていそうなイメージ(笑)
関係ありませんが、テスト前とか、やたらと掃除をしたくなりませんか?
掃除中に、本棚に埋もれていた本、漫画を読みはじめて、勉強をしなかったやつです(笑)
2010年5月20日 風の字

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