気まぐれ拍手 | ナノ
#亜麻色の髪の乙女


雲ひとつなく、気持ちのよい真っ青な空が広がっている。
少女は空のバスケットを手にしたまま、青空へぐーんと背伸びをした。
やさしい風が、ふわりと彼女の髪を撫でた。

「いいお天気」

機嫌良く歌を口ずさみながら、少女は歩き始めた。
少し村から外れた場所に、いろんな花が咲く見張らしのいい丘がある。
丘につくと、少女は辺り一面に咲きほこる色とりどりの花たちに、きらきらと目を輝かせた。

「きれいなお花だわ。なんていうのかしら…?」

初めて見る花、いつも咲いている花、お気に入りの花…、たくさんの花を摘んで、バスケットの中をいっぱいにすると、少女はそれを抱えて走り出した。

(アルスにこのお花をみせてあげよう)

幼馴染みの少年のことを思いながら、少女は丘をくだった。



***



心地よい潮風が、少年の頬を撫でる。
村の船着き場で釣糸を垂らしながら、先程釣った魚の絵をのんびり描いていると、遠くから少年を呼ぶ声が聞こえた。
彼が呼び声の方に目を向ければ、花でいっぱいのバスケットを抱えた幼馴染みの少女がかけてくる。
息を弾ませながら自分のもとへやってきた彼女に声をかけた。

「やあ、マリベル、どうしたの?」

「あのね、アルス、みてみて、お花…」

マリベルがバスケットの花を見せようとしたそのとき、ビューッと、いたずらな潮風が二人の間を通り抜けた。
その潮風と共に、バスケットの中にある花が、ぶわっと宙に舞い上がった。
ふうわりと舞い降りる花のシャワーが、二人を優しく包み込む。

「わぁ!とてもきれいだね」

「ほんとうに、きれいね」

「あ、マリベル、花がついてる…」

「え?」

アルスは、マリベルの髪についた花をとってやろうと手を伸ばしたが、やめた。

「…えっと、花、そのままにしておくね」

「どうして?」

「だって、マリベルにとてもにあっているし、花のようせいみたいでかわいいんだもん」

無邪気な笑みを浮かべた少年の一言に、かわいい花の妖精は、頬をほんのりバラ色に染めた。






拍手ありがとうございます。
たぶん6〜8歳くらいの、アルマリのほのぼのした日常のヒトコマのつもりです。
モトネタはタイトル通りのあの曲です(笑)。
マリベルの髪の色は、亜麻色としてよいのかどうかわかりませんが、細かいことを気にしてはいけません…(苦笑)
あの曲を少しイメージしたつもりですが…どうなんでしょうね。

つたない文でごめんなさい。

2013年12月25日 風の字

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