※新選組女性隊士のシリーズ的なもの。設定があれだったりみんな偽物だったりします、要注意です。





行方不明になったお父様を探しに京にきてから一年が経ちました、
浪士に絡まれていたところを新選組の方に救われて、彼らの一番の秘密を目の当たりにしてしまい、私は一時期新選組にとらわれましたが、新選組が私のお父様を幕府の人間から探すようにと命じられていたらしく、私は新選組に監視をされながらも共にお父様を探してくださることになりました。
新選組の皆さんの協力を得てもお父様の消息はつかめません、が、私はこれからもあの方たちを信頼しているはずなんです。

新選組の中で一人だけ私と同じ(私は男装をしていますが)女性が一人います。
名前は澪さん、年は私より一つ上と言ってました。
彼女は新選組の幹部の一人で、もし新選組の組長格不在、または動けない状態にある場合は代わって指揮を取るという裏方ですが重要な立場にいます。
戦の知識でも山南さんのよき相談相手でもあるそうですし、剣術でも平助君や原田さんと混じって平隊士さんの指導に当たっています。
普段はとても優しい性格で、私のくだらない用事も質問にも優しく答えてくれます。
私が新選組に捕まったときも一番に私をかばってくれましたし、沖田さんや平助君に絡まれた私をよく助けてくれます。
それに年相応だけども、どこかのお姫様といわれてもおかしくない振る舞いに、誰もがうらやむようなかわいい人です。

そんな、どこをとっても完璧な人には大きな悩みがあるらしいのです。


「おい、雪村ちょっと待て」
「はい?」

ある日の早朝、今日は私も早起きして新選組の幹部さんたちの朝稽古に立ち合うことにした。
先日、澪さんが剣術を見て知ることも立派な稽古の一つだと助言をしてくれたから。
道場に向かう私を引きとめたのは新選組の副長の土方さん。

「稽古に行く前にちょっと澪の様子を見てきてくれないか?」
「澪ちゃんの?どうしてですか?」
「今日、昼間の巡察はあいつなんだが、ちょっと昨日の様子がおかしくてな。俺が行くまでのことじゃないだろう」
「……」

様子がおかしい、土方さんが直接いけない、その一言がとっても重く聞こえてしまう。
身に覚えがある過ぎる私は断る理由もなく、それを快諾して澪さんの部屋へ向かう。
澪さんの部屋は新選組の屯所の中でも離れの方にある、今まで何度か部屋に泊まらせてもらったことだってある。

ちょっと古い部屋の戸を叩く、いつも呼びに来るときはこれで大概返事があるし、どんなに早く起こしにきてもきっちり準備を済ませた姿があった。
しかし、土方さんの言った「昨日の様子がおかしい」は私もこの目で見ている。
私は控え目に音を立てないように戸を引いた。

昨日の澪さんはまるで生気をなくして生きた屍のようになっていた。

「うー……ん」
「大丈夫ですか?」

寝苦しいのか、うめく声だけ聞こえる。
まさか本当に体調が悪いのか、と心配になってしまって勢いよく戸を開くとそこにはいつもよりもっさりとした布団の中に並ぶ二つの影。

「……何やってるんですか」

自分でも信じられないくらい冷たい声が出たと思う。
扉を開くと、布団を首までかけて寝苦しそうに体を丸める澪さんと彼女の肩枕をして、朝からこっちにさわやかな挨拶と笑顔を送る一番組の組長、沖田さんの姿があった。

そう、澪さんが私に明かしてくれた悩みは

新選組の幹部が変態で困っていると

中でもぐんを抜いているのが沖田さんらしい新選組の結成当時からこれは続いていて、ひたひたと不気味な足音の正体は必ず新選組の誰かであるといってたし、出かけるときは必ず誰かがぴったりとついてくる。

「だめじゃないか、勝手にあけちゃ―――」
「うーーー」
「うっ……」

一瞬、なにが起きたか分からなかった、
ただ、澪さんと寄り添っていた沖田さんが部屋の隅に投げ捨てられ、澪さんが立ち上がり、沖田さんを凍りつくような鬼の形相で見下していたことその左手には布団の下に忍ばせていたであろう、脇差は刃をむき出しにして輝いていたことを。
と、澪さんは寝起きもあいまって意味の分からない言葉を発しながら刀をぐっと握り締めていた。

我慢の楔が切れた瞬間を目にしてしまった、私。
沖田さんはまるで普通の光景を見ているように澪さんの寝起きを堪能している。
それがさらに気に障ったらしく、ついに本気がそれとももう周りのことが見えてないのか、刀をぶんぶんと振り回す。
私が止めに入らなきゃと決心したときには、もう一人部屋にいる人は増えていた。

「朝から何をしているんだ」

とこちらもやや不機嫌そうにいい、澪さんを後ろから羽交い絞めにする斉藤さん。
きっと土方さんに言われて助けに来てくれたのだろう。
本物の鬼みたく、睨み付けただけで人を殺しそうな眼力で沖田さんをにらみ倒すけど、なんともなかったかの用に体を起こすと沖田さんはじっと斉藤さんを見ると、第一声

「ちょっと一君、僕の澪ちゃんに抱きつかないでくれるかな!」
「ちょっと、沖田さん!」

今はそれどころなんですか!
澪さんは寝起きと怒りで声も届かない。
光る切っ先を振り上げていたけど、さすがに沖田さんの今の発言には目も覚めたようだ。
無言のまま、じっと辺りを一瞥し、自分の刃を収める。
そして落ち着きを取り戻し、深呼吸をした澪さんを放した瞬間、斉藤さんはきっと沖田さんをにらみつけた。

「……お前のものだと、馬鹿なことを言うな」
「へぇ?じゃあ誰のものだっていうのさ」
「……千鶴ちゃん」

私の肩を引っ張って、部屋から出る。
私たちの前ではよく分からな言い合いをはじめる。
その会話すら、痛くて頭に入れたくないし「思い出さないで」と強く押されている。
そのまま部屋に二人を残したまま長い黒髪をつかみ、面倒そうに大きなあくびをすると、澪さんは何事もなかったかのようにぴしゃりと戸を閉めると「朝ごはん食べようか」と私の手を引きました。

「あの、澪さん?」
「んー?」
「いいんですか、あの二人……」
「え?何が?」
「あ、いや、なんでもないです」

もう忘れたことを貫きとおすらしい。
何も言及できることなく、私は黙ってしまった。
澪さんは常識人だと思ったけど、それは存外、間違いだ。

冷たい廊下をぺちぺちと音を立てながら歩く澪さんは急に立ち止まってぽつりと吐いた。

「慣れって怖いね」

と。



言い訳。
シリーズ的なもの。
今回はなぜか!千鶴ちゃん視点で書きたかったんです!
でも、後悔してます、よ。
夢主の性格はもっとおしとやかで笑って相手のギャグを殺すような性格な予定だったりするのですが、それは次回書くことがあれば。
でも絶対書かないと、この夢主のキャラは寝起きが悪くて、雄たけびキャラに……!
ちなみに夢主は昔男装していたとか、近藤さんとは親がちょっとあれだったりとか有名だったりとか設定はさりげなくあったりするのですけど、割愛!

新選組の皆さんの活躍、待ってます!(コラ


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