ノードポリカへ

次の日、早朝に宿屋の前で集まる。
みんなよりも早起きをして町の様子を見回ったが昨日のお祭り騒ぎは終息をしていたし、街は踊りつかれてとても静かだった。
それにフレン隊は拘束したキュモール隊をつれて、ノードポリカに戻ってしまったらしい。

街からすっかり騎士団の影は消え、これでマンタイクは本当の意味で静かな昔の街に戻るのだろう。

「久しぶりによく寝たぁ……ふぁぁ」
「あんた、寝すぎ」
「あー……」
「あんたは寝てなさすぎね……」

隣で大あくびするレイヴンと一緒で私は口元をおさえてあくびをかく。
しかし、まるで逆な理由で。

「もう街出るんだからしゃんと目を覚ませよ」
「はーい……」
「おっさんは目がとろけているのじゃ」
「なに?!それは大変!」
「うざ……」
「朝からそのテンションで居られるとなぁ……」
「エルちゃん若いんだからさ」

だから、なに?と私は強く言い返すとレイヴンはそっぽを向いている。ずるい。

「あれ、街から騎士団が少なくなってる……?」
「ああ。フレンたちならノードポリカに戻っていったぞ」
「夜のうちに移動していたみたいね」
「何か急ぎの用事でもあったのかな?」
「海の魚でも食いたくなってノードポリカに戻ったのじゃ」
「そんなパティじゃあるまいし……」

カロルはあごに手を当てて考える。
するとリタが思い出したように言う

「前に魔物が逃げ出して大変だったでしょ?あれの後処理じゃないの?」
「多分、戦士の殿堂が騎士団に協力を仰いだんだよ。きっと」
「さぁ、どうだろうな」
「んー。ギルドの性分としてそれはないとおもうけどな」

そう、帝国とギルドは不可侵、不協力を保っている。
ギルドユニオンが先日、協定を結んでいたけど、戦士の殿堂はギルドユニオンの傘下に納まっていない。
実力と規模で言えば、天を射る矢ほどの強さを持つギルドだ。
帝国のましてや騎士団に協力を求めるとは思えない。

「いや、なんか封鎖がどうとかいってたし」
「封鎖?何のことかしら?」

ジュディスが言い出したユーリに問うが、おそらく昨晩のソディアの会話を思い出したように口に出しただけであって、何か確実なものがあって口にしたのではないのだろう。

「まさか例の人魔戦争の件でベリウスを捕まえるため……?」
「騎士団も証拠がないものをむやみに捕まえるようなまねはしないでしょう」
「そう簡単に戦士の殿堂が騎士団に遅れを取るとは思えないんだけどな」
「何であれ、ゴタゴタしそうな予感はする」
「今はノードポリカに近寄らないほうがいいかもね」

とレイヴンは言うが、私たちには戻らなければいけない理由もある。

「でも新月の夜も近づいているし、今を逃したらいつベリウスに会えるか分からないかもだよ」
「うちはノードポリカにいかないと船に乗れないのじゃ。麗しの星と記憶を探す旅が続けられないのじゃ」
「でもなー俺様、あんまり騎士団とは関わりあいたくないのよね」
「そりゃ、出来れば俺もな」
「じゃあ慎重に進もうよ。あわてず急いでね」

と凛々の明星の首領のカロルの言葉にみな頷いた。
リタが「カドスのエアルクレーネのことも忘れないでよ」と仲間に釘を刺すと苦笑いで分かったって、と私たちは一路、ノードポリカに戻ることになった。




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