君は君でいいんだよ

まるで泣きたくなる。
それを必死に抑えた君に私はなんて声を掛けてあげればいいのだろうか。
誰よりも強くあろうとして、誰よりも弱い。
そんな君を抱きしめようとしても君の背中まで私の腕は回らない。

「珍しいな」
「何が?」
「お前からそうやって来るの」

そういって空を見つめる、君。
本当は誰よりも清くて純粋な君。

「ユーリだって珍しいよ、そんな顔」
「そうか?……そうだよな」

君は誰よりも優しく笑った。
そんな黒曜石のような瞳に映った自分。
私と君は一緒だったね。

「泣いてるのか?」
「さてね」

知らないよ、そんな風にはぐらかして私は瞳を伏せる。

「俺のせいか?」
「誰のせいでもないわ」

それは私が弱いから、それは私がきっと君の気持ちを他の誰よりも知っているから。
強くありたい、君のように。
弱くて現実から逃げて、君の手を汚させてしまったから。
次は君にだけその罪を負わせないために。

「なぁ」
「何?」
「お前はそのままでいいんだよ」
「何で?」
「そんなエルが好きだから」

ポツリと涙がユーリの背中に伝わった。

君は君でいいんだよ
  (それでも私は強くありたい)




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