ふわふわ女 | ナノ








天気は快晴。気持ちの良い風が吹いて心地よい。今日は午前中授業だったので昼頃には家路に着く人も多い中俺は学校の屋上に居た。臨也たちは先に帰ったらしくムカつくことも無い。久々にゆっくりできそうだ。フェンスに寄りかかり下の自販機で買ってきたイチゴ牛乳を飲んでいると人の気配を感じた。ふと横を見ると日陰になっているところに誰かが、寝ている。ゆっくり近づいていくと見たことのある顔があった。


「(ふわふわ女…だ)」


すうすうと寝息を立てているのはあの俺に怯えた表情しか見せたことのないふわふわ女だった。恐る恐る頭を撫でるとふにゃ、と表情が和らぐ。猫みたいだ。可愛いなぁ、としばらく撫でているとびゅう、と強い風が吹いた。ふわふわ女のスカートが揺れる。このままだと、その、見えるだろう。そう思った俺は着ていたブレザーを脱いでふわふわ女にかけた。ブレザーは思ったよりふわふわ女より大きく、肩から太ももくらいまでをすっぽり覆っている。


「これが、萌えってやつか。」


ジャージとか着せてみてえ、なんてぼそりと呟くとふわふわ女が何か唸りながら身じろいだ。俺はそのまま横に座ってイチゴ牛乳を啜る。目は、まだ覚めなさそうだ。試しにこの柔らかそうに頬を撫でるとくすぐったそうに身を捻った。赤子のように柔らかい。ぷにぷにと触っているとん、という声と共にうっすらふわふわ女が目を開けた。やべぇ、目覚めたか。ばっと離れるとふわふわ女が俺の腕をぱし、と掴んだ。


「きん、いろ。」
「あ?」
「たいよう…みたい。」


寝ぼけてるのか。拙い口調でにこりと笑った。つーか金色って髪のことか。太陽みたいってなんだその想像。可愛いじゃねーか。どうしたら良いかわからなくてあたふたしているとぐ、と腕を伸ばしてきた。そのまま髪を掴まれるとゆっくり頭を撫でられる。あ、気持ちいい。


「らいおん」
「じゃあお前はウサギだな。」
「おおかみ」
「…食うぞ。」


会話が成り立たない。ひとしきり俺を撫でたふわふわ女は満足したのかまた眠りについた。太陽、ライオンときて狼とは。どこまで発想が豊かなんだか。俺は気持ち良さそうに寝息を立てるふわふわ女の頬をもう一度撫でるとゆっくりと立ち上がった。そろそろ帰ろう。

気分が凄くいい。初めて触れたふわふわ女は我ながら良い名前を付けたなと感心するくらい、ふわふわしていた。

(20110402)
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