「行くよ!ギルモン!」
「ばっ…!啓人!」
今日もまた、盛大に転ぶ少年の姿を目撃した。
いたた、と起き上がるのはそういう体質である啓人、そんなパートナーを心配してギルモンが駆け寄っていった、面白い、大輔とも拓也ともまた違う彼は面白い人間でしかなく、くっくっとこらえるように笑うとタイキがちらりと俺を見てきた。
「悪趣味」
「そうかぁ?」
タイキも見ただろ?周囲を見ずに無我夢中で自分の思い一直線に頑張る啓人を、そんな頑張り屋な彼の転ぶ瞬間を、ああ面白い。 思い出してまた笑っていると、程々にしておけよ、なんて呆れたため息と共に言われた、程々に?してるだろ?変な奴だなぁ。 そうして離れていったタイキをよそに俺はまた啓人をみた、すっかりギルモンと、そして大輔と拓也と笑い合う姿があって、ふっと微笑んでしまう、啓人を見てると気が抜けて仕方がないのさ。 疲れがとれるんだよな。
よし、とみんなでまた駆けていった啓人は大輔達と共に食料調達へ行ってしまった。 残念、声をかけるのが遅すぎたな。
「…唐突に不機嫌だな」
「気持ちに気づいていないんだな、啓人が好きだろうに」
がしがしと己の後頭部をかきむしった俺は一人作戦部屋へと閉じこもり、どうしてかイライラとしていた、らしい。
転んだ瞬間。 (俺がかけつければよかった)
20120821
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