はっぴーばーすでーい! 発音の悪い五年生組が大声で言いながらクラッカーを鳴らした、耳元でうるせーなーなんて思っちまったことをちょっと後悔。 別にさ、俺はいいっていったんだけど啓人と大輔がどうしてもっていうから、いつも通り素直じゃない拓也、 あのね!ケーキも作ったけどやっぱりぼくのパンも食べて欲しかったんで!、ひまわりのように明るい啓人、 太一さん!おれ…おれ太一さんに会えてよかった!太一さんとサッカーして、ゴーグルがあって、タケルやヒカリちゃんに会って、賢に会って…そんでデジモンにも会えて、おれ、太一さんにあえて、よかった…!、涙ぐむ大輔。 最初から今の大輔まで突然起こったことなのに驚かない俺に続ける言葉が嬉しくて、姿は同じでもこいつらよりうんと年上の俺はそっと三人を抱きしめる。
「泣くなよ〜大輔」
「だって…太一さん…!」
「大輔くん…なんだか、ぼくも…っ」
「あ、おい一番の泣き虫が泣いたら…ばかやろ…っ」
ずっと憧れの存在でいる俺、疲れるって思うときもあるさ、でもここに来て毎日こいつらの顔を見れて、こんなに大事に祝われて、喜ばないってほうがないだろ? こいつらの見本になるようにずっと支えてきた、俺がしっかりしてこいつらを家に返すんだって、ずっとそればかり考えて、寂しがらせないように、俺が目標であるように。 でもよぉ、俺って考えすぎだったのかもな。 自分たちで用意した豪勢な食事は一見現実世界にあるものに見えても、一生懸命集めた野草や木のみ、魚や自力でおこした火で作ったものなんだ。 甘えっ子だったこいつらのこんな影で努力してるところを気づかない俺の自己満足なお兄さんを責めずにこいつらときたら…。 わんわん泣く姿もなんだかたくましい、沢山汗をかいたんだな、沢山怪我をしたんだな、沢山喧嘩して、沢山協力して、それでこれが出来たんだもんな。すげぇよなぁこいつらにはいつも驚かされて、きっとこの先も飽きないぐらいに驚かされるんだろうさ!
そしてトドメときた、ずっと太一さんにありがとうを言いたかった、だってさ。
「ずっと尊敬してて、だからギルモンと出会えて、太一さんみたいになりたいって思って、だから太一さんはずっとぼくの目標で、それだから、ここまで成長できたのも太一さんのおかげで、だから…だからありがとうって…っ」
「急なことしかなくて、心細いと思う反面これでいいんだって思うこともあった、でも太一さんに会って俺、変わった気がして、俺とは違うリーダーっていうのが凄いって、だから、ごめんっていうのと、ありがとうって…俺っ」
「太一さんはずっとずっとおれの目標で、太一さんの勇気を受け継いでからすげぇ楽しくて、悔しくて、辛いこともあって、それでも太一さんはおれといてくれて、おれ、感謝してもしきれないっすよ…!」
「ばかだなぁ」
可愛い可愛い後輩たちの言葉に俺の目から一筋水が溢れる、抱きしめる腕に力を入れてしゃくりあげるこいつらに混ざって震える声で言ってやった。
「そんなこと言われたら、気ぃ緩んじまうだろ〜?」
いつもの笑顔と、いつもの調子で言ってやれば、またより一層わんわん泣いて、それでも俺は嬉しくて嬉しくて、今までにないぐらい嬉しい誕生日プレゼントだ。
沢山の尊敬とありがとう。 (ありがとう、俺についてきてくれて)
照れくさそうに笑う拓也、泣きながらも綺麗な笑顔の啓人、べそりとした顔でも調子のいい大輔。 お前ら全員俺の自慢の後輩で、自慢の宝さ!
120719 またすぎるというあってはならない事態。太一さんおめでとう…!
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