どんがらがっしゃん! まさか学校でこんな漫画のような音を耳にするとは思わなくて、ゆっくりとそこから振り返ると啓人が思い切り転んでいた。 僕は慌てて啓人に走り寄って、大丈夫!?なんて普段おおっぴらにできないスキンシップを堪能する。
中学生に上がってますます会える機会が減ったけど、でも同じ学校を選んだのは正しくも啓人と一緒にいたいからで、それは僕の最初で最後のわがままだから高校からはまた別々になるんだ。
ああそうだ言い忘れていたけれど今はお昼、購買に行く連中に背中でも押されたんだろう、ドジばかり踏む啓人は今日もまたドジを踏む。
「あはは、ジェンが見えたから声かけようとしたら購買に行く人たちにぶつかっちゃった…」
ほらね当たり。 くすくす、小さく笑うと顔を真っ赤にして笑うなよー!だなんて、もーこの子の将来が本当に不安だよ。 だっていつものことだろ? そうだけどさ、そう言って啓人は家から持ってきたのかパンがいくつも入った袋を数回はたいて立ち上がる。
「ね、久々に一緒にご飯食べようよ!」 「うん、いいね、僕もそう思って啓人のクラスにいくとこだったんだ」 「へ〜!一緒だね!」 「うん!」
ド天然会話炸裂?そう言いたげな目で編入してきた留姫がため息をついた。 あんたらよくやるわね、留姫は偏見せず友達でいてくれる、やりすぎて怒られるけど。 啓人はなんのことだかさっぱりで首をかしげれば、留姫はまた、お子様、とつぶやいてクラスの女子と楽しそうにお昼に向かった。
「留姫変わったね〜」 「そうだねぇ」
君も、だけどね。
ああたべちゃいたい! (君のやわらかいほっぺたが) (お昼にいつもたべたくなる!) (君からするパンの甘い香りが) (それをより一層思わせる!)
ねえ、屋上行こうよ。
それは最高のお昼ご飯。
120712
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