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::擬人化
・trp…金楽 蘭 カネガク ラン
・cl…管木 梨稔 クダキ リネン
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紆余曲折を経てようやっと恋人になった梨稔は今日も今日とていつものソファの左端に座って楽譜を捲っていた。
「あ、昨日配られた楽譜?」
「うん。譜読みしとこうと思って。」
「そっかぁ。あ。俺、梨稔の吹くコラール凄く好き。」
「本当?凄く嬉しい。」
梨稔の背後から楽譜を覗けば、昨日配られたコラール曲。の楽譜。
梨稔の吹くコラールは、音が澄んでいて心が段々綺麗になっていくというか、俺の少い語彙じゃ上手く説明できないけれど、凄く好き。
「蘭は?」
「へ?」
一人梨稔のコラールについて語っていたら、突然梨稔がこちらを振り向いた。
「蘭は、譜読みした?」
「俺?あー、まだ。」
「じゃあ、一緒にしよう?」
「うん。分かった。」
俺と梨稔は金管と木管という大きな違いがあるけれど、同じB♭管の高音楽器ということもあって凄く波長が合う。
俺は部屋から楽譜を持ってきて、梨稔の隣に座った。
「E♭キーかぁ。」
「うん。メジャーで良かった。響きも良いし、僕、この曲好き。」
「俺も。」
原曲を流して、五線譜に書かれた音符を追う。
ゆったりと流れる、王道なコラール。
フルートやクラ、オーボエの木管高音を主旋律にユーフォやホルンの中音が時折ぐっ、と響く。
木管を際立たせるように、支えるように華々しく鳴るペットがアクセント。
音符を目で追いながら安らぐようなコラールに聞き入っていると、肩に重みが掛かった。
「え、」
視界の端に写るのはさらさらと零れる黒髪。この場にいる黒髪なんて、梨稔だけ。
「んん、」
梨稔が身動いで、透き通るような手から楽譜が落ちた。
そのままずる、と俺の膝に頭が落ちてきた。
可愛いなぁ、と一人呟いて、梨稔の頭を撫でる。
コラールはもう終わっていた。
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また受けが眠ってる…。
金楽 蘭(カネガクラン)…金髪碧眼。髪は短め。身長は186cmと少し高め。金色に過剰反応する癖がある。一人称は俺。
管木 梨稔(クダキリネン)…黒髪黒眼。髪は襟足が長め。右目が隠れるぐらいの前髪。身長は172cm。平均ぐらい?シルバーアクセサリーを集めるのが趣味。一人称は僕。
2012/09/18 17:30
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