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※WC後火黒ちゃん設定。
かえるべき場所がある。
そう笑って笑んだあの日は、よく晴れた日の事だったように思えた。
「ねぇ、火神君。」
「なんだよ。」
WC(ウィンターカップ)に優勝して、数日たったある日。
俺の家に来たいと黒子から連絡があり、何の予定もなかった俺は二つ返事でそれを受けた。
といっても黒子は俺の家に来たものの、特にこれを言って何をするでもなくベランダ側の窓に寄り掛かるだけだった。
そんな黒子から唐突に名前を呼ばれて暇潰し程度に読んでいた月バスから目を離す。
「前、僕が言った言葉、覚えてますか?」
「前…?」
いきなりの問い掛けに上手く回らない頭で思考する。
写真をぶちまけるように記憶を漁っても、どのくらい前の台詞の事を指しているのかさっぱり分からない。
「…分かんねぇ…。」
「ふふふ。でしょうね。」
ものの数秒で終わった思考を明かせば、わざとらしく笑ってガラスに頭を預けた黒子の態度に眉が寄った。
黒子の奇行は今に始まったことじゃないのは分かっているが、如何せん小馬鹿にしたような笑みを見逃せるほど大人ではない。
「僕には、かえるべき場所がある。…そう言ったの、覚えてますか?」
2012/12/31 11:52
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