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::敗北者





さみしい、と。たまに昼を共にするサッカー部の級友が言った。
部活がなくてですか、と返すと、照れ臭そうに首肯する。
それに一拍置いてそうですね、返すと、だろ?と言われた。
それから無言が続いた。
彼と昼食を共にする時、余り喋らない。
それがひどく心地好くて、過去も時折こうしていた。そして、霞がかった思考で、一つ感じた。
あの暑い夏が終わって、来る筈の優越感も襲う筈の寂寥感も、何もないことに。
そしてそれに、別段驚きもしなかったことも。

「つまるところ、僕は敗北者なのですね。」

彼が首をかしげたが、なんでもありませんと首を振った。
あぁ、僕は敗北者なのだと、なんとなく悟った。






2012/12/03 08:03 Back

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