▼ アダルトコンプレックス(カイン+パオラ)@FE
たぶん、俺は、恋愛において鈍い部類に入る。
マルス様はシーダ様と仲睦まじくしておられる。相棒のアベルだって、さり気なくペガサスナイトの子とくっついちゃう。ジュリアンだって、マリクだって…。
「…ほんと、俺って色っぽい話ねえなー。」
酒をつまれて口がよく滑るようになるカイン。
「ふふ、恥ずかしい事じゃないし、焦る事じゃないと思うわ。」
それに受け答えをするのは、ペガサスナイト三姉妹の長女パオラ。
彼女の柔らかく控えめな口調、容姿も姉妹に引きをとらない可愛らしいさと、上品さ。
俺の愚痴を笑いながらも聞いてくれる、大人の対応。
俺の思う良い女、とはやっぱりこういう女性を指すのではないか。
今日、長引いていた戦場を制圧し、勝利を収めたアリティア軍は久しぶりの休日を過ごし、マルス様のご好意で酒屋を貸し切り今夜は飲み明かす事になった。
アベルはエストと飲んでるし、一人で飲むってのも寂しい。ドーガ達は酒でベロベロ。ゴードンに限ってはもう寝ている。
辺りを見回すとパオラが一人でカウンターで飲んでいた。というわけで、声をかけた。…決して下心があるわけではない。
「(そういえば、アベルは何でパオラじゃなかったんだろう。)」
恋愛を抜きにして考えても、俺は小うるさいエストよりも品のあるパオラ派だ。と心で思う。
エストの方が可愛らしい印象があることは確かだが。
我が相棒は、どうしてパオラを選ばなかったんだろう。
「…どうかした?」
酒が回ってきたのか、ついぼーっとして彼女を長い間見つめてしまったようだ。
「ごめん、ぼーっとした。」
「眠い?」
「大丈夫。」
またほら、優しく笑うんだ。
「…パオラって、良い女だと思うよ。俺はね。」
「カイン…?」
言葉が覚束ない上に、無意識に心の声が漏れる。頭とは裏腹に、口は止まらない。意識もだんだん朦朧としてきてる。
「嘘じゃないよ、本当に思ってる…。
パオラは大人の良い女、だ…。」
眠気の限界を越えたのか、カインはパッタリ動かなくなった。息を吸う度にあ、生きてた。とホッとするくらいの熟睡具合。
「カインってば、やっぱり鈍感…。」
アダルトコンプレックス
「本当の大人の良い女には、…大人っていっちゃ駄目なのよ?」
end
アベル←パオラ前提のカイン+パオラ
2011/10/10
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