▼ 不器用な猛獣と素直になれない女の子(カイカチュ)@FE






山賊達が占拠している山を抜けるため、ペガサスナイトは空へ出撃。
ただの山賊だ、とタカをくくってたのが痛かった。

うっかり、ハンターを見逃してた。
間一髪で攻撃は避けられたものの、生憎今日は手槍か鉄の槍しか持ち合わせてなかった。鉄の槍で接近しても、完全に倒しきれなかった。
無茶しないで、一度逃げておけばよかった。のかな…。




「カチュアッ!」



見覚えのある赤髪の男が、ハンター目指して駆けてきた。その勢いで、一気に槍を突き刺す。ハンターは動かなくなった。


「怪我は、ないみたいだな。」

「…………。」



悔しい。無鉄砲でただ敵に突進していくだけのこの無鉄砲に助けられるなんて。


「…助けてだなんて、言ってない。」



私一人で大丈夫だった。
なんて強がりな嘘なのに。悔しくて、情けなくって、でも助けてくれた事がこんなに嬉しいなんて。



「はあ…。余計なことして悪かったな。」


赤い前髪をかき上げて、そっぽを向く。普段から見慣れている彼の後ろ姿。少し苛立ちの雰囲気を感じた。
首もとからは汗の滴が垂れていて、肩の動きで息使いが荒い事が分かる。

もしかして。彼は戦いながらも、周りを…私の事を気にかけてくれて、ハンターが私を狙っているのも分かって、急いで来てくれた。のだとしたら。

自惚れても、良いのだろうか。


「…カイン、心配かけてごめんなさい。」


大きくて広い背中に頭を押し付け、服の布のところだけを握りしめる。カインは無言のまま。
背中から伝わる、カインのぬくもりが温かくって、泣きそうになった。



「もう、心配かけるなよ…。」




不器用な猛獣と素直になれない女の子



end





2011/03/22



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